2011年4月19日火曜日

著作権:【著作物性】(データベース)「事実認定」:(知財高裁平成23年4月19日判決(平成23年(ネ)第10005号損害賠償等請求控訴事件))

著作権:【著作物性】(データベース)「事実認定」:(知財高裁平成23年4月19日判決(平成23年(ネ)第10005号損害賠償等請求控訴事件))

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(知財高裁平成23年4月19日判決(平成23年(ネ)第10005号損害賠償等請求控訴事件))

第2 事案の概要
1 被控訴人(被告)は自ら開設するウェブサイト上に「住宅ローン商品 金利
情報」を掲載しているが,控訴人(原告)は,そのうちの,全国の金融機関の金利
情報を整理した被告図表(原判決別紙Aにおいて示された図表部分)が,控訴人の
著作物(図形,編集著作物又はデータベースの著作物)である本件図表(原判決別
紙Bにおいて示された図表部分)を複製したものであり,被控訴人の上記掲載行為
は控訴人の有する本件図表の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害する旨主張し,
被控訴人に対し,著作権法112条1項に基づく差止請求として上記「住宅ローン
商品 金利情報」が掲載されたウェブページの閉鎖と,著作権侵害の不法行為によ
る損害賠償の一部請求として706万4000円の支払を求めた。
2 原判決は,本件図表の著作物性(図形,編集著作物又はデータベースの著作
物)を否定し,控訴人の請求をいずれも棄却した。
3 控訴人は,当審において,本件図表が著作物に当たらないとしても,被控訴
人が本件図表の複製と同視し得る被告図表を掲載したウェブサイトの運営を行うこ
とは,本件図表を掲載したウェブサイトの運営による控訴人の営業活動に対する侵
害行為であり,かつ,公益法人による民業圧迫であるから,法的保護に値する利益
の侵害による不法行為に当たると主張し,この不法行為に基づく請求を追加した。

第4 当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人の本訴請求は当審において追加された請求を含めて棄却すべ
きものと判断する。原審から請求されている著作権侵害に係る請求が理由のないこ
とは,原判決10頁10行目以下の「第3 当裁判所の判断」の1に記載のとおり
であり,当審での追加請求に理由のないことは,次に示すとおりである。
控訴人は,追加請求の原因として,被告図表の特徴が本件図表のそれと同一であ
り,本件図表の複製と同視し得るので,被告図表を掲載したウェブサイトの運営を
行うことは,本件図表を掲載したウェブサイトの運営による控訴人の営業活動に対
する侵害行為であり,かつ,公益法人による民業圧迫であるから,不法行為に当た
る旨主張する。
しかしながら,被告図表は,控訴人も認めるように,本件図表それ自体を用いて
作成されたもの(いわゆるデッドコピー)ではない。また,本件図表の特徴とされ
る,全国の金融機関の住宅ローン商品について,金融機関名,商品名,変動金利,
固定金利の各固定期間の順に配列することや,これらの情報をデータベース化し,
抽出し,並び替えるといった機能自体は,公表されたデータで,しかも全国の金融
機関といっても数が限られたものを整理するにとどまるものであって,ありふれた
ものであるから,これらの配列や機能に被告図表と共通する部分があるからといっ
て,そのこと自体において,被告図表が本件図表の複製と同視し得るものとは認め
られず,被告図表を掲載したウェブサイトの運営が控訴人に対する不法行為に当た
るとはいえない。また,民業圧迫の点についても,証拠(乙7)によれば,被控訴
人の法人の目的として,「住宅金融等に関する…情報提供…」と記載されているこ
とが認められ,被告図表の作成等により住宅ローンの金利情報を提供することは上
記目的に含まれると解されるところ,そのような目的・行為は公益に合致するもの
であるから,被控訴人が被告図表を掲載したウェブサイトの運営を行うことと控訴
人の業務との間に競合する部分があるとしても,被控訴人の上記行為が違法である
とはいえない。
他に控訴人主張の事実関係を最大限考慮に入れたとしても,本件において法的保
護に値する利益の侵害に当たる事実があるものとは認められず,そのことの不法行
為に基づく控訴人の請求も理由がない。

知的財産高等裁判所第2部  裁判長裁判官塩月秀平


平成23(ネ)10005 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟
平成23年04月19日 知的財産高等裁判所


(知財高裁平成23年4月19日判決(平成23年(ネ)第10005号損害賠償等請求控訴事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110420155715.html
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2011年4月18日月曜日

特許:【容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10185号審決取消請求事件(特許))

特許:【容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10185号審決取消請求事件(特許))

(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10185号審決取消請求事件(特許))


平成22(行ケ)10185 審決取消 特許権 行政訴訟
平成23年04月18日 知的財産高等裁判所 

第2 事案の概要
1 本件は,原告が名称を「オークションによる商品販売方法及び当該方法を実
現するコンピュータ」とする発明につき特許出願をしたところ,拒絶査定を受
けたので,これに対する不服の審判請求をしたが,特許庁から請求不成立の審
決を受けたことから,その取消しを求めた事案である。
2 争点は,原告が平成22年2月15日付けでなした手続補正後の請求項1に
係る発明(以下「本願発明」という。)が,下記引用例1ないし3に記載され
た発明及び周知技術から容易想到であったか,である。

イ 以上の記載によれば,従来,中古車販売業者が参加する中古車オークシ
ョンとしては,参加者が特定の会場に赴いて商品を直接確認した上で入札
を行う古典的な方法やインターネット等の通信ネットワークを介して遠
隔地から商品の情報の確認や入札を行うネットオークションによる方法
があり,その一方で,中古車販売業者のような「業者」ではなく「一般消
費者」が商品の出品や入札を直接行う一般消費者向けネットオークション
による商品販売方法があったところ,一般消費者向けネットオークション
では業者向けオークションが提供する品質保証機能が十分に提供されず
商品の本来の価格を大きく下回る入札価格でしか取引が成立しない可能
性があり,他方,業者向けオークションでは,流札となった場合に別のオ
ークションに出品する手間と時間がかかり,さらには,オークションを運
営する主催者にとって自らが主催するオークションのみで成約率を向上
させることが困難であるという課題があった。そこで本願発明は,これら
の課題を解決すべく,複数のオークションにより商品を効果的かつ効率的
に販売する方法及びそれを実現するコンピュータを提供しようとするも
のであり,そのために,通信ネットワークを介して端末と接続されたコン
ピュータが,出品者の端末から商品に関する情報や出品者の連絡先を含む
出品データを受け付けた後,これを「一般向け指定オークションの入札者」
に閲覧可能とするとともに出品取消連絡を受け付けるようにし,出品取消
連絡を受け付けなかった場合には,業者向けオークションに係る処理を行
い,業者向けオークションにおいて取引が成立しなかった場合には一般向
けオークションに係る処理を行うように構成したものである。



知的財産高等裁判所 第1部

裁判長裁判官 中 野 哲 弘

(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10185号審決取消請求事件(特許))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110421100107.html

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特許:【容易想到性】(進歩性)「事実認定」:(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10262号審決取消請求事件(特許)))

* 特許:【容易想到性】(進歩性)「事実認定」:(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10262号審決取消請求事件(特許)))

(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10262号審決取消請求事件(特許)))

平成22(行ケ)10262 審決取消 特許権 行政訴訟
平成23年04月18日 知的財産高等裁判所 

第2 事案の概要
1 本件は,被告が権利者であり発明の名称を「袋による包装方法」とする特許
第3908897号(ただし,平成20年3月27日訂正審決後のもの。請求
項の数7。本件特許)につき,原告がその請求項1ないし6につき無効審判請
求をしたところ,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,これに不服の原
告がその取消しを求めた事案である。
2 争点は,上記訂正後の請求項1ないし6に係る発明(以下「本件発明1」等
といい,全体を「本件各発明」という。)が下記引用例との関係で進歩性を有
するか(特許法29条2項),である。

(3) 本件発明1と甲3の1発明とを対比
前記(1) 及び(2) によれば,本件発明1と甲3の1発明とを対比すると,
両者は「包装品を充填した袋の開口端部を搬送ベルト上に横置きにして行う
包装方法であって,袋の開口を開かせる工程と,袋の開口端部を挟んでシー
ルする工程を含む,袋による包装方法。」という点で一致し,「本件発明1
は,袋の開口を開かせる工程の後であって,かつ,袋の開口端部を挟んでシ
ールする工程の前に,開口した袋内に2本の拡開口バーを挿入しそれを横に
広げて袋の開口を横に広げる工程を含むのに対して,甲3の1発明は,その
ような工程を含まない点」(相違点1)及び「本件発明1は,袋の開口を開
かせる工程の前に,袋の開口端部に上方からエアを吹き付けて袋の開口部を
搬送ベルトに対して偏平状態にさせる工程を含むのに対して,甲3の1発明
は,そのような工程を含まない点」(相違点2)で相違するとした審決の認
定に誤りはない。
原告は,上記相違点2に関する審決の判断に関し,甲3の1発明と甲2発
明との組合せ等について言及するので,以下これについて検討する。

(知財高裁平成23年4月18日判決(平成22年(行ケ)第10262号審決取消請求事件(特許)))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110420104909.html

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2011年4月14日木曜日

特許:【実施可能要件】「判断基準」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))

特許:【実施可能要件】「判断基準」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))(縮小版あり)

(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))


平成22(行ケ)10247 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月14日 知的財産高等裁判所 

第2 事案の概要
本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,特許請求の範囲の記載を下記
2とする本件出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁が,同請求は
成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のと
おり)には,下記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。

2 取消事由(本願発明1の実施可能要件違反の認定判断の誤り)について
 実施可能要件の意義
法36条4項は,「発明の詳細な説明は,…その発明の属する技術の分野におけ
る通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記
載しなければならない」と規定している(以下「実施可能要件」ということがあ
る。)。
特許制度は,発明を公開する代償として,一定期間発明者に当該発明の実施につ
き独占的な権利を付与するものであるから,明細書には,当該発明の技術的内容を
一般に開示する内容を記載しなければならない。法36条4項が上記のとおり規定
する趣旨は,明細書の発明の詳細な説明に,当業者が容易にその実施をすることが
できる程度に発明の構成等が記載されていない場合には,発明が公開されていない
ことに帰し,発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くこ
とになるからであると解される。
そして,本件のような物の発明における発明の実施とは,その物を生産,使用等
をすることをいうから(特許法2条3項1号),物の発明については,その物を製
造する方法についての具体的な記載が必要であるが,そのような記載がなくても明
細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき当業者がその物を製造するこ
とができるのであれば,実施可能要件を満たすということができる。

【縮小版】
「実施可能要件の意義」

「法36条4項は,「発明の詳細な説明は,…その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記載しなければならない」と規定している(以下「実施可能要件」ということがある。)。
特許制度は,発明を公開する代償として,一定期間発明者に当該発明の実施につき独占的な権利を付与するものであるから,明細書には,当該発明の技術的内容を一般に開示する内容を記載しなければならない。法36条4項が上記のとおり規定する趣旨は,明細書の発明の詳細な説明に,当業者が容易にその実施をすることができる程度に発明の構成等が記載されていない場合には,発明が公開されていないことに帰し,発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くことになるからであると解される。 そして,本件のような物の発明における発明の実施とは,その物を生産,使用等をすることをいうから(特許法2条3項1号),物の発明については,その物を製造する方法についての具体的な記載が必要であるが,そのような記載がなくても明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき当業者がその物を製造することができるのであれば,実施可能要件を満たすということができる。」(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))

(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110419132527.html

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特許:【容易想到性」「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))

特許:【容易想到性」「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))

(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))


平成22(行ケ)10239 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月14日 知的財産高等裁判所

第2 事案の概要
本件は,原告らが,下記1のとおりの手続において,本件出願に対する拒絶査定
不服審判の請求について,特許庁が,特許請求の範囲を下記2からへと補正す
る本件補正を却下した上,同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件
審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4の取消事由があると主張し
て,その取消しを求める事案である。



(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110419114237.html

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特許:【相違点認定,容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))

特許:【相違点認定,容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))


(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))

平成22(行ケ)10016 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月14日 知的財産高等裁判所


第2 事案の概要
本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,被告の下記2の本件発明に係
る特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たな
いとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,
下記4のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。

しかしながら,引用発明1の刃の稜線部に形成された凹凸は,あくまでもホイー
ルとガラス面とのスリップを防止する目的のために設けられたものである以上,微
細な山と谷とからなる凹凸にすぎないことについては,原告も争うものではない。
したがって,引用発明1の刃の稜線部に形成された凹凸によっては,ガラス表面
にスリップを防止することができる程度の打点が加えられることはあっても,ガラ
ス板に板圧を貫通するほどの極めて長い垂直クラックを発生させる程度の打点衝撃
を与えるものではないことは,引用例1の記載からも明らかである。原告の主張は,
引用発明1の突起の形状や大きさ,作用効果を無視したもので,相当ではない。
また,引用例1に示された図2は,引用発明1の刃先に形成された条痕によって
生じる,ホイールのスリップを防止するという効果は,ホイールにあたかも鋸の刃
先を形成した場合と同等の効果を有することを模式的に説明するために作成された
図にすぎず,引用発明1のホイールの刃先に,同図のような刃先が実際に形成され
ているわけでもない。
したがって,当業者は,図2をもって,「打点衝撃を与える所定形状の突起」に
係る示唆を与えられるものということはできない。原告の主張は,採用できない。
ウ 以上からすると,相違点1―1は,実質的な相違点であるというべきである。


(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110419105131.html
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2011年4月7日木曜日

特許:【容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10217号審決取消請求事件))

特許:【容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10217号審決取消請求事件))

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(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10217号審決取消請求事件))

http://chizaibengoshi.appspot.com/20110329161827.html

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特許:【実施可能要件】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10249号,第10250号審決取消請求事件))

特許:【実施可能要件】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10249号,第10250号審決取消請求事件))

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(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10249号,第10250号審決取消請求事件))


平成22(行ケ)10249等 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月07日 知的財産高等裁判所 

第2 事案の概要

本件は,被告からの無効審判請求に基づき請求項1ないし4に係る原告らの特許
を無効とする審決の取消訴訟である。争点は,訂正後の請求項1ないし4の発明に
つき,明細書の発明の詳細な説明に当業者がその実施をすることができる程度に記
載がされているか否か(実施可能要件の有無)である。なお,以下に「原告」とい
うときは,原告両名を総称するものとする。

「これらの温度,時間についての実験条件と,通常のセボフルラン含有麻
酔薬の製造,保存等の環境下での条件との関係については,訂正明細書には何ら説
明がない。また,原告は,訂正明細書の実験例において採用される条件が『最悪の
場合のシナリオ』と主張するにとどまり,両者の具体的な関係は明らかにしていな
い。」と説示する。しかし,訂正明細書の実施例3,4で採用されている実験条件が
通常想定される使用条件を超える過酷なもので,短時間で実験を終える加速試験の
条件として設定されたものであるとすれば,上記実験条件下でも安定している薬剤
は,上記実験条件未満の通常の使用条件の下でも安定しているものと考えるのが当
業者の当然の理解であって,さらに詳細に製造条件等を開示するか否かは,明細書
の作成者において発明の詳細な説明をどこまで具体的かつ詳細に記載し,当該発明
の実施形態を詳細に開示するかによるものにすぎず,かかる詳細な製造条件等の開
示が特許法36条4項1号の規定の適用上必須だとされるものではない。そうする
と,審決の上記説示は誤りである。

(知財高裁平成23年4月7日判決(平成22年(行ケ)第10249号,第10250号審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110411135336.html

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