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2011年3月17日木曜日

商標:【不使用取消,「使用」(商標法2条3項1号)】「事実認定」:(知財高裁平成23年3月17日判決(平成22年(行ケ)第10359号審決取消請求事件))






商標:【不使用取消,「使用」(商標法2条3項1号)】「事実認定」:(知財高裁平成23年3月17日判決(平成22年(行ケ)第10359号審決取消請求事件))





知的財産高等裁判所第4部「滝澤孝臣コート」


平成22(行ケ)10359 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
平成23年03月17日 知的財産高等裁判所

(知財高裁平成23年3月17日判決(平成22年(行ケ)第10359号審決取消請求事件))


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【不使用取消,「使用」(商標法2条3項1号)】「事実認定」


(知財高裁平成23年3月17日判決(平成22年(行ケ)第10359号審決取消請求事件))

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判示・縮小版なし


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第2 事案の概要

本件は,原告が,原告の下記1の本件商標に係る商標登録に対する不使用を理由とする当該登録の取消しを求める被告の下記2の本件審判請求について,特許庁が同請求を認めた別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。

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第4 当裁判所の判断


取消事由1(本件商標を使用していると認められないとした判断の誤り)に
ついて
(1)
本件使用商標について
証拠(以下の括弧内に掲記するもの)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認
めることができる。

原告は,昭和17年に創立され,昭和50年に法人設立認可を受けた照明器
具の製造・販売を行う我が国の主要な事業者及び団体を会員として構成する社団法
人であって,照明器具及びその支持・制御装置に関する調査及び研究,情報の収集
及び提供,普及及び啓発,規格等の立案及び推進等を行うことにより,照明器具工
業及び関連産業の健全な発展を図り,もって産業の振興に資するとともに,国民生
活における安全性の確保と生活文化の向上に寄与することを目的とし,エネルギー
の有効利用の促進等の活動を行うとともに,特別事業として,非常用照明器具自主
評定事業や埋込み形照明器具の自主認証等を行っている(甲1,2,20,2


  • 13 -


1)。

上記アのうち,非常用照明器具自主評定事業とは,建築基準法で規定されて
いる非常用照明器具の照明設備のうち,非常用照明器具につき,非常用照明器具自
主評定委員会を組織して,基準の制定,事業者登録,型式評定,事業者立入調査,
買上試験の実施等を行うものであって,原告は,非常用照明器具の自主評定を受け
ようとする製造事業者からの申請を受けると,自主評定委員会において,申請書類
の審査及び実地調査を経た上,登録可とされると事業者登録を行い,さらに,当該
照明器具が原告の非常用照明器具についての規格である「非常用照明器具技術基準
(JIL5501)」(以下「JIL5501」という。)に適合しているかどうかを審議し,評
定可となった場合には,当該製造事業者に対し,評定証を交付するとともに,当該
照明器具が JIL5501 に適合していることを証する標章である本件使用商標1を当該
器具に貼付することを許可し,登録事業者は,本件使用商標1を作成し,その使用
料を原告に支払った上で,当該器具に本件使用商標1を貼付して販売する(甲2,
3,4,50,52,55,56,60,62,63)。

上記アのうち,埋込み形照明器具の自主認証とは,S形ダウンライトを含む
埋込み形照明器具につき,埋込み形照明器具管理委員会を組織して,基準の制定,
事業者登録,型式評定,工場立入調査,製品登録,買上試験等の業務を行うもので
あって,原告は,埋込み形照明器具の製品登録を受けようとする製造事業者からの
申請を受けると,埋込み形照明器具管理委員会において,申請書類の審査及び実地
調査を経た上,登録可とされると事業者登録を行い,さらに,当該照明器具が原告
の埋込み形照明器具についての規格である「埋込み形照明器具(JIL5002)」(以
下「JIL5002」という。)に適合しているかどうかを審議し,登録可となった場合
には,当該製造事業者に対し,製品登録証を交付するとともに,当該照明器具が
JIL5002 に適合していることを証する標章である本件使用商標2ないし4(なお,
本件使用商標2ないし4の区別は,施工方法の違いによる。)を当該器具に貼付す
ることを許可し,登録事業者は,本件使用商標2ないし4を作成し,その使用料を


  • 14 -


原告に支払った上で,当該器具に本件使用商標2ないし4のいずれかを貼付して販
売する(甲2,5,6,51,53,57,61,64,65)。

我が国の主要な照明器具製造販売会社は,原告の会員となっており(甲2
0),原告の非常用照明器具自主評定又は埋込み形照明器具登録を受け,上記イ又
はウの手続によって,その製造販売するこれらの照明器具に本件使用商標1ないし
4のいずれかを貼付している。
例えば,原告の会員である東芝ライテック株式会社は,平成20年製造の非常用
照明器具に本件使用商標1を(甲14),同21年製造の埋込み形照明器具に本件
使用商標2(甲16)をそれぞれ貼付し,そのころ販売していた。原告の会員であ
る岩崎電気株式会社は,平成13年8月から同22年12月まで,製造販売する非
常用照明器具に本件商標1を貼付してきた(甲72)。原告の会員であるオーデリ
ック株式会社は,昭和62年から平成22年12月まで,製造販売する埋込み形照
明器具に本件使用商標2を貼付してきた(甲73)。原告の会員である三菱電機照
明株式会社は,昭和62年11月から平成22年12月まで製造販売する埋込み形
照明器具に本件使用商標3を,同13年8月から同22年12月まで製造販売する
非常用照明器具に本件使用商標1を貼付してきた(甲71)。
(2)
本件使用商標の構成中の「JIL」部分について

上記(1)のとおり,本件使用商標1は原告の規格である JIL5501 に適合して
いる旨の評定を受けた非常用照明器具等に,本件使用商標2ないし4は原告の規格
である JIL5002 に適合している製品登録を受けた埋込み形照明器具に,それぞれ貼
付されるものである。

そして,本件使用商標1についてみると,上部から順に,二重円間に
「(社)日本照明器具工業会」と,二重円の一番内側に「適合」と,二重円間に
「JIL5501」との記載をするものである。
そして,これらのうちの上段の「(社)日本照明器具工業会」は,照明器具の製
造・販売を行う我が国の主要な事業者及び団体を会員として構成する社団法人であ


  • 15 -


って,非常用照明器具自主評定事業や埋込み形照明器具の自主認証等を行っている
原告の名称を示すものと,また,中段の「適合」とは照明器具の何らかの規格等に
適合したことを示すものとみることができるところ,下段の「JIL5501」
は,原告の規格である JIL5501 に係る記載であるが,一般的には必ずしもその意味
が明らかなものとみることができない。また,これらの上,中,下段の各記載は明
瞭に分けられており,かつ,それぞれが関連性を有するものと解することもできな
いから,それぞれが独立したものとしてもみることができる。その上で,下段の
「JIL5501」について改めてみると,何らかの記号であると推測されるとし
ても,上記のとおりの原告の規格である JIL5501 に係る記載であると一見して認識
されるものではなく,必ずしも特定の観念を生ずるものではないところ,これは,
欧文字の「JIL」と算用数字である「5501」とからなるものであるから,こ
れを一体のものとしてみるほかに,「JIL」と「5501」とを区切ってみるこ
とが可能であって,「JIL」との独立した表示も抽出して認識されるものという
ことができる。

また,本件使用商標2ないし4についてみると,いずれも,上部から順に,
二重円間に「(社)日本照明器具工業会」と,二重円の一番内側に太く「S」と,
二重円間に「JIL5002」との記載をし,これらに加え,外側円の右横に太
く,本件使用商標2は「B」を,本件使用商標3は「GI」を,本件使用商標4は
「G」を記載するものである。
そして,これらのうちの上段の「(社)日本照明器具工業会」は,原告の名称を
示すものとみることができるが,中段の「S」との欧文字からは特段の意味を読み
取ることができない。下段の「JIL5002」は,原告の規格である JIL5002 に
係る記載であるが,一般的には必ずしもその意味が明らかなものとみることができ
ない。外側円の右横の「B」,「GI」又は「G」との欧文字からも特段の意味を
読み取ることができない。また,これらの上,中,下段及び外側円右横の各記載は
明瞭に分けられており,かつ,それぞれが関連性を有するものと解することもでき


  • 16 -


ないから,それぞれが独立したものとしてもみることができる。その上で,下段の
「JIL5002」について改めてみると,何らかの記号であると推測されるとし
ても,上記のとおりの原告の規格である JIL5002 に係る記載であると一見して認識
されるものではなく,必ずしも特定の観念を生ずるものではないところ,これは,
欧文字の「JIL」と算用数字である「5002」とからなるものであるから,こ
れを一体のものとしてみるほかに,「JIL」と「5002」とを区切ってみるこ
とが可能であって,「JIL」との独立した表示も抽出して認識されるものという
ことができる。

そして,以上のように本件使用商標の構成中から独立した表示として抽出さ
れる「JIL」の欧文字についてみると,それは,本件商標の指定商品である「電
気機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを
除く)電気材料」との関係で何らかの性状等を示すものと認めることもできないか
ら,同部分は,本件商標との関係において,自他商品識別標識としての機能を果た
し得るものということができ,当該部分のみが独立して自他商品識別標識としての
機能を果たし得るとはいい難いとした本件審決の判断は首肯することができない。
また,仮に,取引者・需要者において,「JIL5501」や「JIL500
2」が照明器具の認証に係る標章であることを知っていたとしても,「JIL」部
分が照明器具の認証の部類に係るものであることを,これに続く算用数字部分が具
体的な認証の種類を表すものと理解し得るものであって,「JIL」部分も,独立
して自他商品識別標識としての機能をも有しているものということができる。
(3)
本件商標の使用について

前記(1)によると,本件使用商標は,原告による評定又は認証がされた原告
の規格に適合する照明器具であることを証する標章であって,その上段に原告の名
称が記載されていることが示すように,本件使用商標によってその旨を証している
者は原告ということができる。
もっとも,前記(1)のとおり,実際に本件使用商標を作成し,当該器具に同商標


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を貼付するのは各登録事業者であるが,これは,原告の了承の下,原告に使用料を
支払った上で,原告の名称で行っているものであるから,原告が,各登録事業者を
介して,照明器具に本件使用商標を貼付して使用しているというべきものであっ
て,本件使用商標の構成中に存在する本件商標についても,原告が,各登録事業者
を介して,照明器具に本件商標を貼付して使用しているものであるということがで
きる。
そして,上記(1)エのとおり,少なくとも,原告は,平成20年及び同21年に
おいて原告の会員である東芝ライテック株式会社を介して,同13年8月から同2
2年12月において原告の会員である岩崎電気株式会社を介して,昭和62年から
平成22年12月まで原告の会員であるオーデリック株式会社を介して,昭和62
年11月から平成22年12月まで原告の会員である三菱電機照明株式会社を介し
て,照明器具に本件使用商標を貼付することにより,本件商標の構成である「JI
L」のみでそのまま使用されていないものであったものの,本件商標の指定商品に
本件商標を付していたということができるから,これらは本件商標の使用(商標法
2条3項1号)に該当するものであって,商標権者が,本件に係る審判の請求の登
録(平成22年3月5日)前3年以内に,本件商標を使用していたものと認めるこ
とができる。

また,前記(1)によると,原告は,製造事業者からの申請に基づき,原告の
規格である JIL5501 又は JIL5002 に基づいて審議し,評定可又は登録可となった場
合に,製造事業者から使用料の支払を受けた上で,本件使用商標を照明器具に貼付
して使用することを認めることにより,本件使用商標の構成中に存在する原告が商
標権を有する本件商標についても,照明器具に貼付して使用させているものであっ
て,このようにして使用許可を得た製造事業者は,本件商標の使用についての通常
使用権者ということができる。
そして,上記(1)エのとおり,少なくとも,原告の会員である東芝ライテック株
式会社は平成20年及び同21年において,原告の会員である岩崎電気株式会社は


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同13年8月から同22年12月まで,原告の会員であるオーデリック株式会社は
昭和62年から平成22年12月まで,原告の会員である三菱電機照明株式会社は
昭和62年11月から平成22年12月まで,照明器具に本件使用商標を貼付する
ことにより,本件商標の構成である「JIL」のみでそのまま使用されていないも
のであったものの,本件商標の指定商品に本件商標を付していたということができ
るから,これらは本件商標の使用(商標法2条3項1号)に該当するものであっ
て,通常使用権者が,本件に係る審判の請求の登録(平成22年3月5日)前3年
以内に,本件商標を使用していたものと認めることができる。

結論
以上の次第であるから,原告主張の取消事由1は理由があり,取消事由2につい
て検討するまでもなく,本件審決は取り消されるべきものである。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 滝 澤 孝 臣




H230322現在のコメント


(知財高裁平成23年3月17日判決(平成22年(行ケ)第10359号審決取消請求事件))

不使用取消の事実認定判決です。審決取消しを認めています。「使用」(商標法2条3項1号)を認めた判決です。
いつもの基準です。基準自体は,固まっています。事実認定が重要です。

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Last Update: 2011-03-22 13:39:30 JST

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2011年1月25日火曜日

商標:不使用取消し,外国語(ハングル文字)の日本国における理解「事実認定」,取消し認めず:(知財高裁平成23年1月25日判決言渡同日判決(平成22年(行ケ)第10336号審決取消請求事件))






商標:不使用取消し,外国語(ハングル文字)の日本国における理解「事実認定」:(知財高裁平成23年1月25日判決言渡同日判決(平成22年(行ケ)第10336号審決取消請求事件))




知的財産高等裁判所第2部「塩月秀平コート」



縮小版「事実認定」



【ハングル文字の日本における理解,文字or図形?】


ここで,我が国に居住する韓国・朝鮮系の者が少なくないことや,近年韓国等から朝鮮半島に由来する商品が多数輸入されて消費されたり,韓国で製作されたテレビ番組や映画が多数放映・上映されたりして,韓国等の文化や食品等の我が国における知名度が向上しているとはいえ,我が国の「茶」の消費者一般にとっては,未だ韓国語ないしハングル文字の理解力が一般人にまで十分であるとはいい難いのであって,需要者において,本件商標のハングル文字部分「􀨬􀩗􀛿」につき,併記されている「ユジャロン」の文字から,おそらくこのハングル文字も同じく称呼すると認識する可能性もあり得るものの,すべての者がこれを読んで正しく称呼したり,その意味内容を理解したりするには至らないものと理解される。なお,仮に本件商標が朝鮮半島に由来する飲料である「柚子茶」の容器等に付されて使用され,また我が国の消費者において「柚子茶」が朝鮮半島に由来する飲料であると知って被告らが販売する「柚子茶」を購入する消費者(需要者)があるとしても,そのような消費者であっても韓国語ないしハングル文字を全く解しない者も少なくないものと容易に推認できる(例えば,甲第4号証の商品の包装箱ではハングル文字が全く使用されていない。)。


他方,「􀨬􀩗􀛿」がハングル文字であること自体は我が国の需要者の間でも一般的認識となっていると推測され,この部分を独立の図形として商標の構成を評価するのは相当でなく,この部分も,称呼は判然としないものの何らかの文字を表すものとして,本件商標からは,「YUJARON」と「ユジャロン」の部分を合わせて一体として「ユジャロン」との称呼が生じると解される一方,これは被告株式会社ビュウの代表者が創作した造語であるから(弁論の全趣旨),そこからは特段の観念は生じない。




H230126現在のコメント


意外と奥深いです。

外国語の浸透力→併記されているから,そうじゃないか?とはおもうが→正しく称呼,意味内容を理解したりするには至らない

表音文字ですので余計ですね。

図形ではなく,「ハングル文字」であるとは分かる
→独立図形として評価すべきではない

という流れです。





判決原文(引用)




判決原文(全文)




平成22(行ケ)10336 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟平成23年01月25日 知的財産高等裁判所 



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平成23年1月25日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官平成22年(行ケ)第10336号審決取消請求事件



口頭弁論終結日平成22年12月15日



判決




主文



原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。



事実及び理由



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第1 原告が求めた判決



特許庁が取消2009-301395号事件について平成22年9月24日にした審決を取り消す。


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第2 事案の概要



被告らは本件商標権者であるところ,本件は,不使用による商標登録取消しを求めた原告の審判請求を成り立たないとした特許庁の審決の取消訴訟である。




1 特許庁における手続の経緯



被告らは,本件商標(登録第4906932号,平成17年11月11日登録,指定商品第30類「茶」)の商標権者であるが,原告は,平成21年12月22日,特許庁に対し,本件商標がその指定商品につき,継続して3年以上,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないと主張して,商標法50条1項に基づいてその登録の取消しの審判の請求をし,平成22年1月19日,本件商標につきその旨の(予告)登録がされた。


特許庁は,原告の請求につき取消2009-301395号事件として審理した上で,平成22年9月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は平成22年10月2日,原告に送達された。

【本件商標】

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2 審決の理由の要点



前記審判請求の登録の日から3年以内に,日本国内において,被告ら及び本件商標の通常使用権者と認められる原告によって,前記審判請求に係る指定商品に含まれる「柚子茶」につき本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことが証明されたから,原告の前記審判請求は理由がない。



第3 原告主張の審決取消事由(被告らが使用する商標と本件商標の同一性判断の誤り)



本件商標は,欧文字からなる「YUJARON」,片仮名からなる「ユジャロン」,ハングル文字からなる「􀨬􀩗􀛿」を同じ大きさ,同一書体で,横三段書きしてなる商標であり,上記欧文字部分及び片仮名部分から「ユジャロン」との称呼が生じる。

しかし,我が国の需要者及び取引者においては,上記ハングル文字部分を称呼することはできず,上記ハングル文字部分からは特定の称呼は生じない。

また,本件商標からは特定の観念は生じない。

他方,審決が使用の事実を認めた商品に係る甲第4ないし9,11ないし16の商標は,片仮名からなる「ユジャロン」を横一段書きしてなるもの,欧文字からなる「YUJARON」を横一段書きしてなるもの,欧文字からなる「YUJARON」と片仮名からなる「ユジャロン」を横二段書きしてなるもののいずれかであって,いずれもハングル文字部分が表記されておらず,本件商標と外観が著しく異なる。また,我が国の需要者及び取引者にとってハングル文字がなじみが薄く,特定の称呼及び観念を生じさせるものではないものであって,図形として認識されるべきものであることにかんがみると,被告らが使用する上記商標と本件商標とは称呼及び観念を異にするものというべきである。なお,本件商標のうちハングル文字の部分は商標全体の3分の1程度の面積を占め,他の欧文字部分及び片仮名部分とまとまりよく一体的に表記されていることにかんがみると,本件商標をハングル文字部分とその余の部分とに分けて観察することは相当でないというべきである。

したがって,使用商標と本件商標とは社会通念上同一の商標ではないから,両者が社会通念上同一であるとした審決の判断は誤りである。



第4 取消事由に関する被告の反論



使用商標が付されていた商品は朝鮮半島由来の柚子茶であり,また,我が国には朝鮮半島にルーツのある韓国・朝鮮系の者が多数居住していること,朝鮮半島由来の柚子茶の需要者及び取引者には韓国語に詳しい者が少なくない。そうすると,柚子茶に接した需要者及び取引者は,ハングル文字部分「􀨬􀩗􀛿」を「ユジャロン」と称呼することができる。


我が国の韓国語を解さない需要者及び取引者においても,本件商標のように固有の称呼しか生じない名称については三段表記中のハングル文字部分から「ユジャロン」との称呼が生じ,これをあくまで文字と理解するはずであって,図形として認識することはない。

そうすると,被告らが使用していた商標と本件商標とは,ハングル文字部分を含めて同一の称呼を生じるから,両者が社会通念上同一であることは明らかである。



第5 当裁判所の判断



1 本件商標は,アルファベット(欧文字)の大文字のみからなる「YUJARON」,片仮名からなる「ユジャロン」,ハングル文字からなる「􀨬􀩗􀛿」を概ね同じ大きさ,明朝体ないしこれと同等の書体で,横三段書きしてなる外観を有するものであり,上記アルファベット文字部分,片仮名部分,ハングル文字部分との間で格別の体裁の差は存しない。

ここで,我が国に居住する韓国・朝鮮系の者が少なくないことや,近年韓国等から朝鮮半島に由来する商品が多数輸入されて消費されたり,韓国で製作されたテレビ番組や映画が多数放映・上映されたりして,韓国等の文化や食品等の我が国における知名度が向上しているとはいえ,我が国の「茶」の消費者一般にとっては,未だ韓国語ないしハングル文字の理解力が一般人にまで十分であるとはいい難いのであって,需要者において,本件商標のハングル文字部分「􀨬􀩗􀛿」につき,併記されている「ユジャロン」の文字から,おそらくこのハングル文字も同じく称呼すると認識する可能性もあり得るものの,すべての者がこれを読んで正しく称呼したり,その意味内容を理解したりするには至らないものと理解される。なお,仮に本件商標が朝鮮半島に由来する飲料である「柚子茶」の容器等に付されて使用され,また我が国の消費者において「柚子茶」が朝鮮半島に由来する飲料であると知って被告らが販売する「柚子茶」を購入する消費者(需要者)があるとしても,そのような消費者であっても韓国語ないしハングル文字を全く解しない者も少なくないものと容易に推認できる(例えば,甲第4号証の商品の包装箱ではハングル文字が全く使用されていない。)。


他方,「􀨬􀩗􀛿」がハングル文字であること自体は我が国の需要者の間でも一般的認識となっていると推測され,この部分を独立の図形として商標の構成を評価するのは相当でなく,この部分も,称呼は判然としないものの何らかの文字を表すものとして,本件商標からは,「YUJARON」と「ユジャロン」の部分を合わせて一体として「ユジャロン」との称呼が生じると解される一方,これは被告株式会社ビュウの代表者が創作した造語であるから(弁論の全趣旨),そこからは特段の観念は生じない。


2 原告が遅くとも平成19年9月ころまで被告らから譲り受けて我が国で販売していた商品である「柚子茶」の包装箱の一側面には,「香味柚子茶/YUJARON/ユジャロン」と横三段書きされた標章が付され,別の側面には,「香味柚子茶/YUJARON」と横二段書きした標章と,その下に柑橘類の図柄と「citron syrup tea」とのアルファベット文字を組み合わせた標章が付されている(甲4)。なお,上記三段書きされた標章は,包装箱内のビン容器にも同様の体裁のものが付されている(甲5の3,4)。

また,原告が遅くとも平成21年11月ころまで使用していたホームページのトップには,いずれもアルファベットからなりロゴ化された「YUJARON」の文字標章が使用されている(甲5の1,2,4,甲8)。

そして,原告及び被告ビュウが遅くとも平成22年3月ころまで使用していたホームページには,「こうみゆずちゃ/香味柚子茶/YUJARON/ユジャロン」と横書きした標章が使用されている(甲6,7)

さらに,平成21年9月ころまでの間に,原告が被告らとの間の取引に使用した書類でも,片仮名からなる「ユジャロン」の標章が使用されている(甲9,13)。

3 原告の前身である有限会社ユジャロンは,被告らが製造販売する柚子茶等の我が国における総販売元として設立され,有限会社ユジャロン及びその後身である原告は,被告らが製造販売する柚子茶を我が国で販売してきたものであったから(甲11),前記2の柚子茶についての原告の標章の使用が本件商標の使用許諾に基づくものであることは明らかである。


そして,商標として使用されたと認められる前記各使用標章からは,「ユジャロン」の称呼が生じることが明らかであるし,本件商標のアルファベット部分又は片仮名部分の一方又は双方と同一の文字列をその構成部分としているものであるから,前記各使用標章と本件商標とは社会通念上同一の商標であると評価することができる。

なお,「􀨬􀩗􀛿」の部分については前記のとおり図形として評価するよりも文字として評価するのが相当であるから,前記各使用標章と本件商標の外観の相違は,上記評価を左右するものではない。

4 したがって,原告による審判請求の登録の日(平成22年1月19日)から3年以内に,日本国内において,本件商標の通常使用権者である原告によって,本件商標の指定商品「茶」の一つである「柚子茶」につき,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていたものであって,この旨をいう審決の判断に誤りはない。



第6 結論



以上によれば,原告が主張する取消事由は理由がないから,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官塩月 秀 平- 7 -裁判官真 辺 朋 子裁判官田 邉 実
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Last Update: 2011-01-26 20:35:14 JST

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