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2011年3月15日火曜日

著作権:【職務著作性】「事実認定」,【「プログラム言語のちがい」による著作物性】「判断」:(知財高裁平成23年3月15日判決(平成20年(ネ)第10064号著作権確認等請求控訴事件))






著作権:【職務著作性】「事実認定」,【「プログラム言語のちがい」による著作物性】「判断」:(知財高裁平成23年3月15日判決(平成20年(ネ)第10064号著作権確認等請求控訴事件))





知的財産高等裁判所第2部「塩月秀平コート」


平成20(ネ)10064 著作権確認等請求控訴事件 実用新案権 民事訴訟
平成23年03月15日 知的財産高等裁判所 

(知財高裁平成23年3月15日判決(平成20年(ネ)第10064号著作権確認等請求控訴事件))

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【職務著作性】「事実認定」,【「プログラム言語のちがい」による著作物性】「判断」


(知財高裁平成23年3月15日判決(平成20年(ネ)第10064号著作権確認等請求控訴事件))



判示


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第2 事案の概要


原判決別紙著作権目録記載の「船舶情報管理システム (本」件システム)を開発作成し,その著作権を有すると主張する控訴人(原告)は,元の勤務先である被控訴人(被告)が同システムを使用しているとして,被控訴人に対し,①本件システムについて,控訴人が著作権を有することの確認を求めるとともに,②控訴人による開発寄与分の確認を求めた。


原判決は,本件システムはプログラムの著作物であるが,仮に同システムが控訴人の著作に係るものと認めるとしても,著作権法15条2項の職務著作に該当するとして,その著作権を有することの確認請求を棄却するとともに,本件システムについての開発寄与分がどれほどの割合かの確認を求める請求については,訴えの利益がないとして,その訴えを却下した。

控訴審では,①の請求については,控訴人が単独で著作権を有することの確認を主位的請求とし,予備的に,被控訴人又は信友株式会社(信友)及び中国塗料技研株式会社(中国塗料技研)と共同で著作権を有することの確認を請求した。

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第4 当裁判所の判断


控訴人が本件システムについてその著作権の確認を求める請求に関する判断は,次のとおり加えるほかは,原判決28頁22行目以下の「2本件システムの著作物性について」及び30頁9行目以下の「3 本件システムは職務著作に係る著作物であるかについて」記載のと(おり ただし,原判決30頁15行目「冒頭の の」は 「ある,」と訂正する )であり。,本件システムは,職務著作(著作権法15条2項)に該当し,その著作者は信友又は中国塗料技研であると認められるから,控訴人が作成した部分があるとしても,その著作権を有するものではない。

(1)

控訴人は,昭和60年から控訴人が退職する平成5年1月末まで,被控訴人が控訴人に対して,本件システムについて何らの開発指示・命令を行うことなく,同システムは,控訴人が一人で考えてアイデアを具現化して作られたものであるから 「法人等の発意」はなかった旨主張する。

そこで検討するに,証拠(甲135,136,153,乙4∼6。枝番号の書証を含む。証人A,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

ア被控訴人においては,昭和61年2月に,信友に出向中の控訴人が起案した「海運をとりまく環境が悪化しておりますが,限られた船舶用塗料を1隻でも多く獲注するため,就航中の船舶を徹底的にフォローし,船舶情報をコンピューターに入力して,当社及び他社の使用状況,塗装仕様及び実績,次回入渠成績予定などを把握して営業戦略の一助とすべく情報管理システムを計画しております。本システム業務を下記要領にて信友(株)に一括委託いたしたく稟請申しあげます 」と。の稟議書に基づいて稟議がなされ,信友との間で5年間にわたる総額4575万円のリース契約を締結し,信友に対して当該リース物件購入のための金員3500万円を貸し付けることを含めて,代表取締役Bの決裁により,上記船舶情報管理システム業務を信友に委託することが承認された。


その後,信友では,昭和61年8月 に「新,造船受注情報システム計画案」が策定され,昭和61年9月には,プログラム作成の外注先として選定された田中電機の見積りに基づいて,上記船舶情報管理システムのプログラムの追加が同様に稟議され,信友との間で5年間にわたる総額165万6000円のリース契約の締結が決裁された。さらに,昭和63年6月に,上記田中電機の見積りに基づいて,上記船舶情報管理システムの端末機1台及びソフトの追加が同様に稟議され,信友との間で5年間にわたる総額146万1000円のリース契約の締結が決裁された。


田中電機に対する本件システムのプログラム作成等の費用は,昭和60年以降,控訴人の信友在職中は同社から,平成4年6月に控訴人が中国塗料技研に代表取締役として出向してからは同社から,それぞれ支払われており,田中電機ではそれに基づいて本件システムに係るプログラム作成等が進められた。

(2)

以上の認定事実及び原判決の認定事実(原判決30頁14行目∼32頁6行目)によれば,船舶情報管理システムである本件システムは,被控訴人の社内稟議を経ての代表者の決裁という明確な発意に基づいて開発が開始され,被控訴人が全額出資する完全子会社である信友に対して,当該開発業務の委託と必要に応じての資金援助が行われるとともに,追加のプログラムのリース契約等も締結されたものであり,信友においても 「新,造船受注情報システム」が会社としての事業計画とされていたのであるから,本件システムの作成は,法人としての信友の発意に基づくものであると認められる。また,信友と同様に被控訴人が全額出資する完全子会社である中国塗料技研についても,被控訴人と業務運営上一体的な立場に立つ法人であって,平成4年6月に本件システムの開発に従事していた控訴人が同社に代表取締役として出向した際も,船舶情報管理システムの開発業務が同社に移管され,田中電機に対して本件システムのプログラム作成のための支払を行っているのであるから,その後の本件システムの作成は,法人としての中国塗料技研の発意に基づくものと認められる。

以上のとおり,本件システムの開発が,控訴人が在籍中の出向元である被控訴人の指示により開始され,被控訴人の完全子会社である信友及び中国塗料技研がその意向を受けて法人として本件システムの開発を発意しているのであるから,両社において当該開発業務に従事する控訴人が,その職務上作成した本件システムのプログラムの著作者は,その作成時における契約や勤務規則等の別段の定めがない限り,法人である信友又は中国塗料技研となるものと認められ(著作権法15条2項 ,)上記別段の定めについての主張立証はないのであるから,結局,本件システムのプログラムの著作者は,信友又は中国塗料技研,あるいはその双方であると認めるべきである。

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(3)

控訴人は,本件システムを一人で考えてアイデアを具現化して作成したから著作者であると主張し,田中電機に外注を行うに当たり,コンピュータ画面設計やカーソル操作,ファンクションキーらの設定,入力方法などについて,詳細な指示を行っていた旨を強調する。

しかし,そのような事実が認められるとしても,控訴人による上記の指示が,信友又は中国塗料技研の業務に従事する者の立場で(控訴人が,本件システムのプログラムの開発中,被控訴人から出向して信友又は中国塗料技研の業務に従事し,給与の支払を受けていたことは,当事者間に争いがない。),職務上行われたものである以上,控訴人が個人として当該システムのプログラムの著作物の著作者となるものでないことは,条文上明らかであるから,控訴人の上記主張を採用することはできない。

また,控訴人は 「, 法人等の発意」というためには,雇用者の被雇用者に対する命令でなければならず,雇用者は命令が忠実に実行されているか確認を常に怠っていてはならないにもかかわらず,被控訴人は,本件システムについて一切の命令もせず,控訴人に任せきりにしていたから,被控訴人の「法人等の発意」が存在したとはいえないと主張する。


しかし,前示のとおり,本件システムの開発が被控訴人の指示により開始され,被控訴人の完全子会社である信友及び中国塗料技研がその意向を受けて同システムの開発を発意している以上,その後の開発過程において,被控訴人や信友又は中国塗料技研からプログラム作成についての具体的な指示等がなされなかったとしても,また,控訴人主張の確認が継続していなかったとしても,当該各法人による発意の存在が左右されるものではない(なお,被控訴人から信友に対して,本件システムのプログラム作成のための資金援助がなされたこと,信友及び中国塗料技研が田中電機に本件システムのプログラム作成のための支払を行い,これに基づいて本件システムのプログラム開発が進められたことは,前記認定び原判決認定(31頁12行目∼15行目)のとおりである。。したが)って,控訴人の上記主張を採用することはできない。

(4)

以上のとおり,本件システムについては,控訴人が作成した部分があるとしても職務著作が成立し,控訴人が共同著作権も含め著作権を有するものではないから,その著作権の確認を求める請求は,主位的請求及び予備的請求のいずれについても理由がないものといわなければならない。


  • 11 -




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なお,本件システムと,被控訴人において稼動していた「船舶情報管理システム」との関係について判断する。

(1)

控訴人は,現在,被控訴人において稼働している船舶情報を管理する船舶情報管理システムについての判断を求める。その趣旨は,同システムが,本件システムを移植したものであって,実質的に同一のものであるから,控訴人の著作物であるというものである。

そこで検討するに,証拠(甲16,23∼37,132,133,136,138,143∼145,153,乙5∼34。枝番号の書証を含む。証人A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。


船舶情報管理のための本件システムは,昭和60年から平成5年にかけて,控訴人が作成したシステム仕様書や画面仕様書などの発注仕様書に基づいて,IBMの代理店である田中電機においてそのプログラムの開発作業が進められて作成されたものであり,一応完成された部分についても,被控訴人に納品されて稼働確認等がなされ,その結果に応じてプログラムの修正が行われた。本件システムは,控訴人の退職後に完成され,信友からのリースを受ける形態により被控訴人において使用され,その間,新造船又は修繕船の履歴に関するデータが集積された。

本件システムのプログラムは,その構成内容が明らかでなく,サーバ側のプログラムと端末側のプログラムの切り分けやプログラム言語もほとんど不明であるが,IBM社のオフィスコンピュータ S/36 又は AS/400 専用に開発されたものであり,同社製のコンピュータ上で動作するデータベース管理プログラムである Query/36が用いられている。

イ被控訴人は,営業規模の拡大などに対応するため,新たな船舶情報管理システムの開発を企画し,平成8年9月,NECに1982万6985円で同システムの開発を発注し,平成9年3月と6月に同社又はNECソフトウェア中国により船舶情報管理システム(NECシステム)が納品され,それ以降,NECシステムを使用していた。NECシステムの作成に際しては,本件システムが参考とされ,集積された新造船又は修繕船の履歴に関するデータが移管された。また,被控訴人は,平成10年7月,田中電機との間で締結していた本件システムの稼働のためのIBM機器の保守点検契約を終了した。

NECシステムのプログラムは,オペレーティングシステム(OS)であるマイクロソフトの Windows95 及びその上で動作するデータベース管理プログラムであるマイクロソフトの Access を用いることを前提として,Visual Basic 又は VisualBasic for Application を用いて作成されたものである。


NECシステムは,OS 等が旧式化して使用上の不都合が増大したため,被控訴人の内部においても徐々に利用されなくなり,被控訴人は,新たにウェブ配下で稼働する船舶情報管理システムの作成を富士通株式会社に依頼し,そのシステムが完成,稼働したことから,平成22年8月に,NECシステムを廃棄した。

(2)

以上の認定事実及び原判決の認定事実(原判決28頁24行目∼30頁8行目)によれば,本件システムとNECシステムとは,ともに新造船又は修繕船の履歴に関する情報管理システムであり,当該情報の入力及び出力の機能等に共通する点があるとしても 例えば ,NEC,システムが Visual,Basic 又は Visual Basicfor Application により,表示された船舶画面上でマウスによるカーソル移動によって指示を受けて塗装部位等に関する情報を入力させるような画面を提供するのに対し,本件システムで用いられるデータベース管理プログラムである Query/36 に対してそのような画面入力を行うことは困難であるから,プログラムの表現において両者が異なることは当然であり,両者がプログラム著作物として同一又は実質的に同一といえないことは明らかである(なお,控訴人は,NECシステムが本件システムを翻案(著作権法27条)した著作物である旨を主張立証するものでないことを明言している。。)

(3) 控訴人は,本件システムのうち,マスター類,船舶基本情報,塗装実績,塗装仕様発行システム,新造船受注システムなどは,控訴人が退職する平成5年1月末までには膨大なデータ量になっていた上,同期日までに控訴人が開発した成績管理システム,修繕船管理システム,店所別,造船所別入渠予定,建造予定線表などにも,毎日膨大な船舶塗料に関するデータが入力・出力されたはずであり,蓄積されたデータを被控訴人が廃棄することはあり得ないことを根拠に,NECシステムが本件システムと実質的に同一であると主張する。

確かに,前記認定のとおり,本件システムは,被控訴人において使用され,その間,新造船又は修繕船の履歴に関するデータが集積されており,当該データはNECシステムの作成に際して同システムに移管されたものと認められる。また,NECシステムの作成に際して,本件システムの機能や構成等が参考とされたものと推測するのが自然である。しかし,新造船又は修繕船の履歴に関して集積されたデータが移管されたり,システムの機能や構成等が参考とされたことと,プログラム著作物としての表現自体の同一性とは別問題であり,プログラム著作物としての表現が同一又は実質的に同一といえないことは,前記説示のとおりであるから,控訴人の主張を採用することはできない(なお,控訴人は,本件システムがデータベースの著作物(著作権法12条の2)である旨を主張立証するものではない。。)

(4)
以上のとおりであるから,被控訴人において使用されていたNECシス
テムについて,本件システムと著作物として同一又は実質的に同一であることを根
拠に,本件システムと一体のものとしてその著作権を有することの確認を求める請
求は,その前提において理由がないものといわなければならない。

控訴人が本件システムに対する開発寄与分がどれほどの割合かの確認を求める訴えについて判断するに,この割合自体が現在の権利又は法律関係となるものではなく,単なる事実関係の範疇に属するものであり,その事実関係から直截に現在の権利又は法律関係が導かれ,紛争を抜本的に解決するような事実関係ということもできないので,この訴えは,確認の利益を欠くものといわなければならない。

よって,上記訴えは,不適法であって却下を免れない。

第5

結論


  • 14 -



以上によれば,控訴人の著作権の確認を求める主位的請求は理由がなく,これを棄却した原判決は相当であり,また,本件システムについての開発寄与分の割合の確認を求める請求は訴えの利益がなく,これを却下した原判決は相当であるから,本件控訴は理由がないのでこれを棄却する。併せて,当審における予備的請求も理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平



縮小版


(知財高裁平成23年3月15日判決(平成20年(ネ)第10064号著作権確認等請求控訴事件))



【プログラム言語のちがい】「判断」


「あてはめ」例

控訴人は,現在,被控訴人において稼働している船舶情報を管理する船舶情報管理システムについての判断を求める。その趣旨は,同システムが,本件システムを移植したものであって,実質的に同一のものであるから,控訴人の著作物であるというものである。

そこで検討するに,証拠(甲16,23∼37,132,133,136,138,143∼145,153,乙5∼34。枝番号の書証を含む。証人A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。


船舶情報管理のための本件システムは,昭和60年から平成5年にかけて,控訴人が作成したシステム仕様書や画面仕様書などの発注仕様書に基づいて,IBMの代理店である田中電機においてそのプログラムの開発作業が進められて作成されたものであり,一応完成された部分についても,被控訴人に納品されて稼働確認等がなされ,その結果に応じてプログラムの修正が行われた。本件システムは,控訴人の退職後に完成され,信友からのリースを受ける形態により被控訴人において使用され,その間,新造船又は修繕船の履歴に関するデータが集積された。

本件システムのプログラムは,その構成内容が明らかでなく,サーバ側のプログラムと端末側のプログラムの切り分けやプログラム言語もほとんど不明であるが,IBM社のオフィスコンピュータ S/36 又は AS/400 専用に開発されたものであり,同社製のコンピュータ上で動作するデータベース管理プログラムである Query/36が用いられている。

イ被控訴人は,営業規模の拡大などに対応するため,新たな船舶情報管理システムの開発を企画し,平成8年9月,NECに1982万6985円で同システムの開発を発注し,平成9年3月と6月に同社又はNECソフトウェア中国により船舶情報管理システム(NECシステム)が納品され,それ以降,NECシステムを使用していた。NECシステムの作成に際しては,本件システムが参考とされ,集積された新造船又は修繕船の履歴に関するデータが移管された。また,被控訴人は,平成10年7月,田中電機との間で締結していた本件システムの稼働のためのIBM機器の保守点検契約を終了した。

NECシステムのプログラムは,オペレーティングシステム(OS)であるマイクロソフトの Windows95 及びその上で動作するデータベース管理プログラムであるマイクロソフトの Access を用いることを前提として,Visual Basic 又は VisualBasic for Application を用いて作成されたものである。


NECシステムは,OS 等が旧式化して使用上の不都合が増大したため,被控訴人の内部においても徐々に利用されなくなり,被控訴人は,新たにウェブ配下で稼働する船舶情報管理システムの作成を富士通株式会社に依頼し,そのシステムが完成,稼働したことから,平成22年8月に,NECシステムを廃棄した。

(2)

以上の認定事実及び原判決の認定事実(原判決28頁24行目∼30頁8行目)によれば,本件システムとNECシステムとは,ともに新造船又は修繕船の履歴に関する情報管理システムであり,当該情報の入力及び出力の機能等に共通する点があるとしても 例えば ,NEC,システムが Visual,Basic 又は Visual Basicfor Application により,表示された船舶画面上でマウスによるカーソル移動によって指示を受けて塗装部位等に関する情報を入力させるような画面を提供するのに対し,本件システムで用いられるデータベース管理プログラムである Query/36 に対してそのような画面入力を行うことは困難であるから,プログラムの表現において両者が異なることは当然であり,両者がプログラム著作物として同一又は実質的に同一といえないことは明らかである(なお,控訴人は,NECシステムが本件システムを翻案(著作権法27条)した著作物である旨を主張立証するものでないことを明言している。。)

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H230316現在のコメント


(知財高裁平成23年3月15日判決(平成20年(ネ)第10064号著作権確認等請求控訴事件))

プログラム言語が異なれば,実質的に同一とはいい難いというのは,そのとおりとおもいます。


NECシステムのプログラム言語は,
「Visual Basic 又は VisualBasic for Application」とはっきり出ていますが,

本件システムは,IBM専用機ということになれば,少なくとも「Visual Basic 又は VisualBasic for Application」ではないとは判断できるでしょう。



ただ,あまり知財高裁には意見を言わないようにしていますが,この縮小版として挙げていない「法人の発意」についての判断は,おかしいとおもいます。

「法人の発意」は,著作物に対する発意ですが,「本件システム」=プログラムと,必ずしもならないはずです。

「以上のとおり,本件システムの開発が,控訴人が在籍中の出向元である被控訴人の指示により開始され,被控訴人の完全子会社である信友及び中国塗料技研がその意向を受けて法人として本件システムの開発を発意しているのであるから,両社において当該開発業務に従事する控訴人が,その職務上作成した本件システムのプログラムの著作者は,その作成時における契約や勤務規則等の別段の定めがない限り,法人である信友又は中国塗料技研となるものと認められ(著作権法15条2項 ,)上記別段の定めについての主張立証はないのであるから,結局,本件システムのプログラムの著作者は,信友又は中国塗料技研,あるいはその双方であると認めるべきである。」

という判示だけをみれば,システム発注すれば,そのプログラムの中身を見る必要もないということになります。本件システムという結論を得るプログラムは,色々な道があるはずです。その結論を得るために,創作性があれば,そのプログラムについて,著作物性が論じられることになるはずです。

ただ,この事案

「本件システムのプログラムは,その構成内容が明らかでなく,サーバ側のプログラムと端末側のプログラムの切り分けやプログラム言語もほとんど不明であるが,IBM社のオフィスコンピュータ S/36 又は AS/400 専用に開発されたものであり,同社製のコンピュータ上で動作するデータベース管理プログラムである Query/36が用いられている。」

となっているところが,大きく結論を左右したともいえます。

ソースが明らかになっていないばかりか,職務著作性を主張した側において,自分の創作したとされるプログラムソースを示すことができなかった事例といえましょうか(判示からしかみていないので,わかりませんが)。

いずれにしても,この「法人の発意」に関する判断は,

「控訴人は,業務内容を信友及び中国塗料技研に頻繁に報告し,指示を仰いでいた。したがって,信友及び中国塗料技研には,黙示の「法人等の発意」があった。したがって,本件システムは,職務著作物であり,その著作権は信友ないし中国塗料技研にある 」

という原判決の判断を,飛び越えた判断とかんがえます。この知財高裁の判断については留保しておきます。

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Last Update: 2011-03-16 19:20:27 JST

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……………………………………………………判決末尾top
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2011年3月10日木曜日

著作権:【職務著作性「法人等の発意に基づくこと」】「基準」(最高裁判決引用):(知財高裁平成23年3月10日判決(平成22年(ネ)第10081号 損害賠償等請求控訴事件))






著作権:【職務著作性「法人等の発意に基づくこと」】「基準」(最高裁判決引用):(知財高裁平成23年3月10日判決(平成22年(ネ)第10081号 損害賠償等請求控訴事件))





知的財産高等裁判所第4部「滝澤孝臣コート」


平成22(ネ)10081 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟
平成23年03月10日 知的財産高等裁判所

(知財高裁平成23年3月10日判決(平成22年(ネ)第10081号 損害賠償等請求控訴事件))

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【職務著作性「法人等の発意に基づくこと」】「基準」(最高裁判決引用)


(知財高裁平成23年3月10日判決(平成22年(ネ)第10081号 損害賠償等請求控訴事件))



判示


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第2 事案の概要

1 本判決の略称は,「各執筆担当従業員」を「各執筆担当者」に改め,「(仮
題)病院の新経営管理項目読本」と題する書籍原稿(甲1。ただし,Aが執筆した
「第5編 院内IT化と情報管理・プライバシー保護」の部分は除く。)を「本件
著作物」と,アーバンプロデュースによる病院の経営管理に関する書籍の執筆依頼
を「本件執筆依頼」といい,原判決の「本件書籍」を,特に断らない限り「本件著
作物」と読み替えるほかは,当事者の呼称を含め,審級に応じて読み替え,改める
ほかは,原判決に従う。
2 本件は,控訴人が,本件著作物について著作権法15条1項(職務著作)に
基づき著作権を有すると主張し,被控訴人が本件著作物に依拠して被控訴人書籍を
作成し,出版,販売及び頒布する行為が,控訴人の本件著作物の複製権を侵害する
として,同法112条1項に基づき被控訴人書籍の出版,販売及び頒布の差止め並
びにその廃棄を求め,また,不法行為に基づく損害賠償として,671万円及びこ
れに対する訴状送達の日の翌日である平成20年12月13日から支払済みまで民
法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原判決は,本件執筆依頼は,被控訴人書籍を出版したアーバンプロデュースから
控訴人に対してされたものと認めることはできず,かえって,アーバンプロデュー
スから被控訴人個人に対して依頼されたものであり,各執筆担当者は被控訴人から
の個人的な依頼に基づき執筆を行ったものと認めるのが相当であるから,本件執筆
依頼の以上のような執筆過程で作成された本件著作物は,控訴人の発意に基づき,
職務上作成されたものであるということはできず,したがって,本件著作物は,職

2
務著作としての要件を満たさず,控訴人の著作物とは認められないとして,控訴人
の請求をいずれも棄却したため,控訴人が,これを不服として控訴に及んだ。

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第4 当裁判所の判断

1 争点(1)(本件著作物が控訴人の職務著作(著作権法15条1項)に該当す
るか)について
当裁判所も,本件著作物がいわゆる「職務著作」として控訴人の著作物であると
認めることはできないと判断する。その理由は,以下のとおりである。
(1) 認定事実
以下のとおり付加訂正するほか,原判決8頁18行目ないし11頁23行目を引
用する。
ア 原判決8頁22行目「本件書籍の執筆について依頼を受けた。」を「本件執
筆依頼を受けた。」に改める。
イ 原判決9頁1行目「Aにも本件書籍の執筆について」を「Aにも,本件執筆
依頼に係る書籍について,ITや情報管理に関する分野に関し,」に改める。
ウ 原判決9頁3行目,同10行目,同16行目,同19行目,同22行目,同
10頁1行目,同2行目,同6行目,同16行目の「本件書籍」を,それぞれ「本
件執筆依頼に係る書籍」に改める。
エ 原判決9頁6行目「予定された」の次に,「ほか,実際には4か月間で作成
する予定であることが確認された。」を加える。
オ 原判決11頁12行目の「本件書籍を,被告の著作名義の被告書籍として出
版した。」を「被控訴人書籍を,被控訴人の著作名義で出版した。」に改める。

11
カ 原判決11頁17行目「Aに対し,」の次に,「第4章「院内IT化と情報
管理」に関し,」を加える。
(2) 争点1(本件著作物が控訴人の職務著作(著作権法15条1項)に該当す
るか)について
ア 職務著作について
(ア) 前提事実,証拠(甲1,13,14,原審における証人B)及び弁論の全
趣旨を総合すれば,本件著作物は,被控訴人及び各執筆担当者が,控訴人の取締役
又は従業員として勤務していた当時,遅くとも平成18年7月ころまでに各執筆担
当箇所について執筆した原稿を合わせたものであることが認められるところ,控訴
人は,本件著作物が控訴人の職務著作(著作権法15条1項)に該当し,控訴人が
その著作権を有すると主張するので,以下,検討する。
(イ) 著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が指揮監
督下における職務の遂行として法人等の発意に基づいて著作物を作成し,これが法
人等の名義で公表されるという実態があることに鑑みて,同項所定の著作物の著作
者を法人等とする旨を規定したものである(最高裁平成13年(受)第216号同
15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)。
そして,同法15条1項が定める「法人等の発意に基づくこと」については,法
人等が著作物の作成を企画,構想し,業務に従事する者に具体的に作成を命じる場
合,あるいは,業務に従事する者が法人等の承諾を得て著作物を作成する場合には,
法人等の発意があると認められるが,さらに,法人等と業務に従事する者との間に
雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従
って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な
指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作
成が予定又は予期される限り,「法人等の発意に基づくこと」の要件を満たすもの
と解すべきである。
イ 検討

12
(ア) これを本件についてみると,本件執筆依頼は,アーバンプロデュースから
直接被控訴人に対して行われたものであり,平成19年に控訴人が被控訴人書籍の
出版を知るまで,被控訴人以外に,控訴人内部において,本件執筆依頼に関し,ア
ーバンプロデュースと連絡を取った者はいない。
この点につき,控訴人は,アーバンプロデュースから,本件執筆依頼を,被控訴
人を通じて受けた,すなわち,被控訴人は控訴人のために,控訴人の業務として,
本件執筆依頼を受けたものである旨主張する。
しかしながら,控訴人とアーバンプロデュースとの間において,本件執筆依頼に
関する契約書は作成されておらず,控訴人内部において,控訴人がアーバンプロデ
ュースから本件執筆依頼を受けたことを示す業務依頼書(甲10参照)や業務受託
報告書(甲11参照)等の書類も作成されていないことについては,当事者間に争
いがない。
また,控訴人は,平成16年1月の控訴人の医療経営指導部部会において,同部
部長である被控訴人が,部下である控訴人の従業員らに対し,アーバンプロデュー
スからの本件執筆依頼について同部内で対応したい旨説明したと主張し,Cの陳述
書(甲15)及び原審における証人Bの証言中には,これに沿う部分がある。
しかしながら,同部会の議事録(詳細版)(甲9)中には本件執筆依頼について
の記載が一切なく(同議事録の他の記載内容に照らすと,同依頼について記載を省
略すべき事情はうかがわれない。),他に同部会で上記説明がされたことを裏付け
る客観的な証拠はない。甲15及び原審における証人Bの証言中の上記部分は,こ
れを裏付ける客観的証拠がなく,これに反する被控訴人の陳述書(乙13,14)
及び原審における被控訴人本人の供述に照らし,採用することができず,控訴人の
上記主張を認めることはできない。
さらに,控訴人は,各執筆担当者の打合せ議事録には,各執筆担当者が本件著作
物の執筆を控訴人の業務として認識している旨の記載があるなどと主張する。
確かに,平成16年9月16日の打合せの議事録(甲6の3)には,「例えば…

13
結果を送ってきてくれば当社でレーダーチャートにして評価し結果をだしますよ。
(まとめてかける記入シートをつけて,それを送ってきてもらう。コメントは各担
当者)窓口はアーバンさんに…(点数集計はアーバンさん。コメントは当社)無料
でする」という記載があるが,当該記載は,各執筆担当者の中に,本件執筆依頼に
係る書籍の読者を対象としたサービスを控訴人が提供することを提案した者がいた
ことを示すにすぎず,そのことをもって,直ちに各執筆担当者が本件著作物の執筆
について業務性を認識していたものであるとか,本件著作物が控訴人の発意に基づ
くものであることを裏付けるものである,ということはできない。
控訴人がそのほかるる指摘する議事録などに関する各指摘は,同様に,いずれも
採用することはできない。
(イ) 前記のとおり,B以外の各執筆担当者が控訴人を退職後,本件著作物の執
筆作業が他の控訴人従業員に命じられたことはなく,さらに,被控訴人が控訴人を
退職する際,控訴人内部において本件著作物の執筆作業の今後の取扱いについて何
らの決定もされておらず,その後,執筆作業は一切行われていない。また,控訴人
とアーバンプロデュースとの間で連絡が取られたこともなかったものである。
この点について,控訴人は,アーバンプロデュースと面識のある被控訴人が連絡
担当者である以上,控訴人において,アーバンプロデュースと連絡を取らなかった
としても不自然ではなく,そのほか,控訴人の社内における取扱いについても,本
件著作物の職務著作該当性を否定するものではないなどと主張する。
しかしながら,前記認定事実によると,当初の予定では,平成16年7月30日
の各執筆担当者との打合せにおいて,約4か月で執筆し,遅くとも平成17年1月
初旬にアーバンプロデュースに対して入稿することが予定されていたのであるから,
各執筆担当者のうち,Bが最も遅く原稿を最終的に被控訴人に提出した平成18年
5月の時点では,当初の予定より大幅に入稿が遅滞していたものである。
それにもかかわらず,同年8月31日,被控訴人が控訴人を退職後,被控訴人書
籍が出版されるまで,控訴人において,本件執筆依頼に関する後任者が決定されず,

14
アーバンプロデュースに対して連絡すらしなかったことは,本件執筆依頼が控訴人
に対する依頼であったとする控訴人主張と明らかに矛盾するものである。仮にアー
バンプロデュースが控訴人に対して本件執筆依頼をしたのであれば,いかに被控訴
人がアーバンプロデュースとの連絡窓口を担当していたとしても,アーバンプロデ
ュースから控訴人に対し,督促が行なわれることもなく,また,アーバンプロデュ
ースと控訴人との間で,全く協議もされなかったということは不自然といわざるを
得ない。控訴人は,被控訴人がBに対し,出版することができないなどと話してい
たことを,アーバンプロデュースに対して連絡をしなかった理由として主張するが,
原審において,Bは,被控訴人から,「日常会話の中で,ちょっともうこれじゃ出
版できないな,そういった発言を聞いた」「もうだいぶ当初の期限というところか
ら過ぎていたことと,…Y統括がちょっとこれだったらちょっと出版できないかな
というような発言をされていたので,このままなくなってしまうのかなというよう
に感じておりました。」などと供述しているにすぎず,被控訴人のかかる発言は,
出版に適する時機を逃したのではないかとの危惧を表明する程度の発言であるもの
と推測され,被控訴人がかかる発言をしたことをもって,控訴人がアーバンプロデ
ュースに対して連絡をしなかった合理的な理由とはならないことは明らかである。
しかも,Bが,各執筆担当者から被控訴人に提出されたデータを保管していた(甲
1,13,原審における証人B)というのであるから,当該データを用いて本件著
作物の執筆を継続することは可能であったにもかかわらず,B自身も,本件執筆依
頼に係る書籍は実際に出版されないまま終わってしまうのではないかと考え,上司
に相談することなく,被控訴人書籍発行を契機として本件の紛争が生じるまで,忘
れてしまっていた(原審における証人B)というのである。
控訴人は,そのほか,被控訴人の退職と被控訴人書籍出版時期との関連について
も主張するが,同主張は客観的裏付けを欠くものというほかない。
(ウ) 証拠(丙1ないし7)及び弁論の全趣旨によれば,本件執筆依頼は,アー
バンプロデュースの出版する「管理項目完全チェックリスト集」のシリーズの一冊

15
として企画されたものであり,このシリーズは,いずれも個人の著作名義で公表さ
れていることが認められる。
(エ) 本件執筆依頼によって執筆された被控訴人書籍は,最終的に被控訴人の著
作名義で公表され,被控訴人書籍の原稿料はアーバンプロデュースから被控訴人個
人に対して支払われている。アーバンプロデュースが控訴人に本件執筆依頼をした
と認識していたのであれば,控訴人の意向を確認することなく,上記のような取扱
いをすることは,通常では考え難いことである。
この点について,控訴人は,被控訴人が,若手の部下に対し,有償で執筆協力を
求めるはずがなく,A以外には対価を支払っていない点や各執筆担当者が退職後に
執筆作業を継続していない点などに関する合理的な説明はされていないなどと主張
する。
しかしながら,被控訴人が,職務を離れて若手の部下に対して執筆協力を依頼す
るのであれば,控訴人から支給される給与とは別に,被控訴人自らその対価を支払
うことを提案したとしても何ら不自然なことではない。各執筆担当者が退職後,被
控訴人に対して提出した原稿の修正作業を行わなかったことも,退職に伴い被控訴
人との間の職場における上司と部下という関係が切断されたことから疎遠となり,
修正作業についても具体的に進展することなく,事実上放置されることも十分あり
得ることであるから,同様に不自然であるとまでいうことはできない。
また,被控訴人が,Aに対し,既に対価を支払ったことは,被控訴人及び各執筆
担当者が十分知識を有しないIT関係に係る項目について,被控訴人の部下ではな
く,控訴人とは無関係の会社を経営するAに依頼したという経緯からすると,不合
理とはいえないし,各執筆担当者には被控訴人から原稿料が支払われていない点に
ついては,むしろ被控訴人と各執筆担当者との間における問題であって,そのこと
をもって,本件著作物の職務著作該当性を決することはできない。
さらに,控訴人は,被控訴人書籍と同一シリーズの書籍について,アーバンプロ
デュースが法人に対して原稿料を支払った事実もあるなどと主張するが,過去にお

16
いて,個人名義の出版物について,執筆者の指定により,当該個人の所属する法人
に対して原稿料を支払ったことがあるとしても,それは,本件著作物の職務著作該
当性に係る判断とは関係がないというほかなく,むしろ,控訴人に対する依頼であ
ったのであれば,先に指摘したとおり,アーバンプロデュースが,控訴人に無断で,
被控訴人個人に対して原稿料を支払うようなことは通常では考えられないことであ
り,被控訴人個人に対する原稿料の支払もまた,本件著作物の執筆が控訴人に対す
る依頼ではなかった証左といわなければならない。
(オ) 以上説示したところによれば,本件執筆依頼がアーバンプロデュースから
控訴人に対し依頼されたものと認めることはできず,かえって,同依頼は,アーバ
ンプロデュースから被控訴人個人に対し依頼されたものであり,各執筆担当者は被
控訴人からの個人的な依頼に基づき執筆を行ったものと認めるのが相当である。
したがって,本件著作物は,控訴人が被控訴人及び各執筆担当者に対し,その作
成を企画,構想し,具体的に作成を命じた場合とも,被控訴人及び各執筆担当者が
控訴人の承諾を得て著作物を作成した場合とも,控訴人の業務計画や第三者である
アーバンプロデュースとの間で締結した契約等に従って,所定の職務の遂行として
執筆した場合とも,いうことはできないから,控訴人の発意に基づくものであると
評価することはできない。
なお,各執筆担当者が控訴人の業務時間内に本件執筆依頼に係る打合せのために
控訴人の会議室を使用していたこと,各執筆担当者の中に,就業時間中に控訴人か
ら貸与されたパソコン及びソフトウェアを用いて執筆を行った者や,控訴人の負担
で本件著作物を執筆するための参考図書を購入した者がいたこと,被控訴人がアー
バンプロデュースを訪問した際の交通費を控訴人が負担したことがあったことなど
が認められ,控訴人は,この点から,被控訴人がアーバンプロデュースを訪問した
際の交通費を控訴人から支払を受けた事実及び訪問の時期などについては,被控訴
人の供述は不自然・不合理であるなどと強調する。
しかしながら,仮に,被控訴人がアーバンプロデュースを訪問した際の交通費を

17
控訴人から支払を受けた事実及び訪問の時期が控訴人の主張のとおりであったとし
ても,そのこともって,本件著作物が控訴人の発意に基づくものとする根拠となる
ものではない。そのほかの各事実も,同様に,被控訴人が個人的に本件執筆依頼を
受けたとの前記認定を覆すに足るものではない。
ウ 小括
したがって,本件著作物は,控訴人の発意に基づくものではなく,職務著作とし
ての要件を満たすものではないから,控訴人の著作物とは認められない。
2 結論
以上の次第であるから,控訴人が,本件著作物を含む被控訴人書籍の全部につき,
その差止め等を求める請求の趣旨の適否はさておき,控訴人の請求を棄却した原判
決は相当であって,本件控訴は棄却されるべきものである。
知的財産高等裁判所第4部

裁判長裁判官 滝 澤 孝 臣




縮小版


(知財高裁平成23年3月10日判決(平成22年(ネ)第10081号 損害賠償等請求控訴事件))

「著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が指揮監督下における職務の遂行として法人等の発意に基づいて著作物を作成し,これが法人等の名義で公表されるという実態があることに鑑みて,同項所定の著作物の著作者を法人等とする旨を規定したものである(最高裁平成13年(受)第216号同15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)。

 そして,同法15条1項が定める「法人等の発意に基づくこと」については,法人等が著作物の作成を企画,構想し,業務に従事する者に具体的に作成を命じる場合,あるいは,業務に従事する者が法人等の承諾を得て著作物を作成する場合には,法人等の発意があると認められるが,さらに,法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,「法人等の発意に基づくこと」の要件を満たすものと解すべきである。」(知財高裁平成23年3月10日判決(平成22年(ネ)第10081号 損害賠償等請求控訴事件))



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H230315現在のコメント


職務著作性に関して「法人等の発意」について最高裁判決を引用した判断基準をしめし,結論として否定したあてはめをしている知財高裁判決です。

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Last Update: 2011-03-15 10:47:54 JST

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……………………………………………………判決末尾top
メインサイト(Sphinx利用)知財高裁のまとめMY facebook弁護士・弁理士 岩原義則知的財産法研究会ITと法律研究会弁護士・弁理士サービスのフェイスブック活用研究会

2009年12月24日木曜日

著作権:職務著作性「基準」(最高裁判決引用),「公表」の意味「解釈」:(知財高裁平成21年12月24日判決(平成21年(ネ)第10051号損害賠償請求控訴事件))





目 次


著作権:職務著作性「基準」(最高裁判決引用),「公表」の意味「解釈」:(知財高裁平成21年12月24日判決(平成21年(ネ)第10051号損害賠償請求控訴事件))





知的財産高等裁判所第2部「中野哲弘」


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縮小版「基準」(最高裁判決引用),「解釈」:





職務著作性の有無「基準」(最高裁判決引用)



「職務著作について定めた著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で,その法人等が自己の名義の下に公表するものの著作者は,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがない限り,その法人等とすると定めているところ,「法人等の業務に従事する者」に当たるか否かは,法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに,法人等の指揮監督下において労務を提供するという実体にあり,法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを,業務態様,指揮監督の有無,対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断すべきものと解される(最高裁平成15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)。」((知財高裁平成21年12月24日判決(平成21年(ネ)第10051号損害賠償請求控訴事件))

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【あてはめ】




イそこで,上記見解に立って本件をみるに,前記のとおり,控訴人は被控訴人の被用者ではなく,フリーのカメラマンとして個人で写真事務所を経営しているものあること,本件各走行会において控訴人は,本件写真販売事業においては控訴人の一般的指揮の下に撮影を行ったが,撮影に当たってはプロのカメラマンとしてこれを実施したこと,第1回走行会の前日である平成18年7月12日に,控訴人の撮影した写真であることを明示してもらうため被控訴人に対し,控訴人撮影のクレジットの挿入を要求し,現にライコランド社のホームページに掲載された本件写真には「PHOTO BYX」なる撮影クレジットが挿入されていること等の事実を認めることができ,これらを総合勘案すれば,控訴人は基本的には被控訴人との契約に基づきプロの写真家として行動していた者であり,被控訴人の指揮監督の下において労務を提供するという実体にあったとまで認めることはできない。

ウそうすると,本件写真は職務著作であるとする被控訴人の主張はこれを採用することができないことになり,これを肯定した原判決の見解は採用できないということになる。

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「公表」の解釈



【あてはめ】
(1) 前記1の認定事実によれば,本件写真は,本件各走行会において,被控訴人の販売用テント前でインデックス写真等として展示されていることが認められる。そして,著作物は展示の方法で公衆に提示された場合において公表されたものとなるところ(著作権法4条1項),控訴人は本件写真を本件各走行会において即時販売用に展示することは承諾していたと認められるから,本件写真がライコランド社のホームページやポスターに掲載された時点では既に著作者の同意を得た公表がされていることになり,著作権法18条1項の「まだ公表されていないもの(著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む。)」に該当しない。


なお,控訴人は著作権法にいう公表とはメディアに公表することであると主張するが,かかる見解は独自の見解であって採用することができない。

よって,控訴人の公表権侵害を認めることはできない。

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→→【改変】



「走行会において即時販売用に展示すること」は,「公表」(著作権法4条1項),著作権法18条1項の「まだ公表されていないもの(著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む。)」に該当しない。

したがって,公表権侵害は認めることはできない。

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判決原文(引用,「当裁判所の判断」)




第4 当裁判所の判断



当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がないと判断する。その理由は,原判決第2,2「前提となる事実」のほか,次のとおりである。

1 証拠(甲1~7,10,12,乙1,2の1・2,3の1・2,4の1・2,5,6,9,10,11の1・2,18,19,24,第一審原告本人,第一審被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。

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(1) 控訴人は,フリーのカメラマンであり,個人で写真事務所を経営している。

一方,被控訴人は,電気工事業,写真の撮影,加工及び販売等を行う有限会社であり,その代表者であるAは,かつてはアマチュアのオートバイレーサーをしていたことがあり,控訴人とは中学の同級生の関係にある。(なお,控訴人は被控訴人は電気工事以外できない会社である等と主張するが,被控訴人は,本件写真販売事業を行うことにより,写真の撮影,加工及び販売を行っているといえるし,被控訴人が撮影機材を所有していないことや写真撮影のできる社員が存在しないことは,原判決及び上記認定を覆すものではない。)

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(2) 被控訴人代表者Aは,平成17年2月ころ,オートバイレース参加者の走行中の写真を撮影し,それをレース終了後直ちに販売する本件写真販売事業を企画し,同年3月上旬ころ,控訴人に対し,同事業の内容を説明して参加を持ち掛け,控訴人が本件写真販売事業の写真撮影を行うこと,報酬は1回当たり2万円とすることを合意した。

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(3) 上記合意は口頭によるものであり,契約書が交わされることはなかったが,被控訴人代表者Aは控訴人に対し,被控訴人が走行会主催者に提出する企画書(乙1)を提示し,その概要を説明した(同書の交付はしていない。)。

なお,本件写真販売事業において,走行写真のデータを無償で走行会主催者に交付し,ホームページ等での自由な使用を許諾することは,被控訴人が走行会主催者から無料での出店承認を得る上でセールスポイントとなるものであった。

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(4) 上記企画書の内容は,

その1頁が「Quick Photo Service

~思い出の一瞬をプロのカメラマンが撮影~

企画(有)東洋コムテック」

その2頁が「例えば・・・

・プロのカメラマンにかっこいい写真を撮ってもらいたいけど,どこに言えばいいのか・・・

・友人が写真を撮ってくれるけど,いまいち・・・

・デジカメで写真を撮ってもらったけど引き延ばしたら画像が悪くなってしまった。

・大会の打ち上げで写真を見ながら盛り上がりたい!」

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その3頁が「Concept》

アマチュアスポーツ大会,イベント等において,プロカメラマンにより写真を撮影,商用昇華型プリンターならではの精彩な写真をプリンティング。大会,イベントの興奮をリアルタイムに会場内にて展示,販売。」

その4頁が「Q.プロのカメラマンに写真を撮ってほしいですか?(以下略)」

その10頁が「大会主催者様へ

・エントラント様へのサービスの一環としてお考え下さい。


・大会主催者様には,当日撮影した全てのデータを後日CD-Rにて差し上げますので,ホームページ,パンフレット等の媒体に自由に使用する事が出来ます。(写真,データの販売は出来ません)」等とするものであった。


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(5) 上記合意に基づき,控訴人は,平成17年5月・7月・8月・9月・11月及び平成18年1月・3月・5月に開催されたオートボーイ杯等の写真撮影をしてこれを被控訴人に提供し,被控訴人は控訴人からの請求に基づき翌月末にその報酬として各2万円(うち1回だけ実働時間が短かったため1万2000円)を支払った。

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(6) 控訴人は,Aからの指示により,オートボーイ杯において控訴人が撮影した写真の電子データを自ら媒体に記録して主催者に持参したことがあったが,これにつき控訴人はAに対し異議を述べたことはなかった。

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(7) 本件訴訟の対象となっている写真(本件写真)は,平成18年7月13日に開催された第1回ライコランド走行会及び同年9月21日開催された第2回ライコランド走行会に関するものであるが,上記第1回走行会の前日である平成18年7月12日に至り,控訴人は被控訴人代表者Aに下記内容のメール(甲5)を送信したが,これを受けたAは特段の返答をすることはなかった。

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「おつかれです。

Xです。明日の走行会でひとつ御願いが・・・。

画像データの販売について。

基本的には販売しない方向で,考える。

もし,販売する場合!必ずXの撮影「クレジット」を入れて販売する。

・・・(中略)・・・

要は,著作者の権利はXに有る!と言う事を確認したいのと,

主催者側が,宣伝,告知などの営利目的(ポスター,WEBサイト等)でのXの写真を使用する場合はXへの使用許可が必要である,などの確認です。

※オートボーイでの走行会や,レースではプリント販売以外の使用に関しての取り決めを行っておりませんでしたので,確認のメールです。

以上の事で御願いします。」

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(8) Aは,第1回ライコランド走行会当日,控訴人が隣にいる席で,アップデザインズ社に対し,ライコランド社のホームページに控訴人の撮影した写真を載せる際,控訴人の名前を表示するよう依頼し,アップデザインズ社はこれを了承した。

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(9)ア本件写真販売事業は,パソコンでの印刷等を行うPCデータ班(1名又は2名),宣伝及び販売等の接客を行う受付(1名から3名),撮影(1名),撮影補助(受付も兼ねる。1名)に分かれて行われた。

具体的には,撮影担当は,サーキットコース内で参加者の走行写真を撮影し,当該写真のデータが記録された媒体をその場で撮影補助担当に渡し,撮影補助担当は,走行会会場内に駐車した被控訴人の車両内で印刷作業を行うPCデータ班に当該媒体を渡し,PCデータ班はインクジェットプリンタで各参加者のインデックス写真を印刷するとともに,「本日のベストショット」と称する見本写真を実際の販売用写真に用いる高性能の昇華型プリンタで印刷することを行った。

見本写真と各参加者のインデックス写真は,上記車両の近くに設営された販売ブース(テント)に展示され,受付担当が参加者の購入申込みを受け付けた。購入を希望する参加者は,自分のインデックス写真の中から希望する写真の番号を申込用封筒に記入して購入を申し込み,申込みがあると,PCデータ班が昇華型プリンタで当該写真を印刷し,受付担当がこれを購入希望者に交付して販売した。


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イAは,あらかじめ,本件業務における各担当者の作業と円滑な運営や販売成績向上のための各担当ごとの留意点等を定め,これを書面化したもの(乙3の1・2)を各担当者に交付して打合せを行うなどして,必要事項を伝達したが,Aが控訴人の写真撮影に関してした指示は,概ね次のようなものである。

(ア) 撮影場所について,本件写真販売事業を始めた当初は,撮影するコーナー,カーブを「第1ヘアピンカーブ」などと具体的に指示した。ただし,控訴人が撮影に慣れてきてからは,控訴人に撮影場所の選択を任せることもあった。また,1人の購入者に3枚以上の写真を販売することを目標とし,3枚以上の写真購入者には価格を割り引くサービスを実施していたため,同一の参加者につき異なる構図の走行写真を3枚用意できるように,3か所以上で撮影するように指示した。


(イ) 被写体について,参加者全員の写真を販売するため,AらPCデータ班が,参加者のリストと販売用に展示する写真とを照らし合わせながら,撮影されていない,又は3つ以上の構図で撮影されていない参加者の車両番号等を伝え,また,普段走行会で多数の写真を購入する参加者の車両番号等も伝えて,こうした参加者の走行写真を撮影するように指示した。

(ウ) 昇華型プリンタの性能,設定に合わせて適正に印刷するため,縦長で撮影することを禁止し,画像サイズはLサイズではなくSサイズと指定した。

(エ) 撮影した写真の電子データ授受の方法について,参加者に走行直後での写真販売という特長を宣伝するため,走行会開始後しばらくは比較的短い間隔で記録媒体をPCデータ班に渡すように指示した。

ウ控訴人は,撮影機材として,走行するオートバイを撮影するのに適した連続撮影の可能なカメラ(デジタルスチールカメラ)を選び,その他,オートバイを大きく写すなどするためのレンズと2倍のエクステンダー,一脚等を準備した上,走行するオートバイを撮影するのに最適なシャッタースピード,絞り値(光量),ISO感度を選択して撮影をした。

top

(10) 第2回ライコランド走行会の翌日である平成18年9月22日に控訴人は被控訴人代表者Aにメール(乙18)を送信したが,その内容は下記のとおりである。


「お疲れ様です,Xです。

本来ならば,直接話して意見を言いたい所なのですが,忙しそうなのでメール差し上げました。

・・・(中略)・・・

XとA仲だから,ぶっちゃけて言いますよ!

ライコランド側に,データーを無料提供は待って欲しい。

撮影者への使用許可と?と言うかライコ側からのデータ使用料(ギャラ)の請求をしたいと考えたいのですが!

Xが撮影した写真をライコのポスターに使うのであれば,当然の事でしょ!

(以下略)」


top

(11) 被控訴人代表者Aは,平成18年9月22日には上記メールに対し返信のメール(甲7)を送信したが,その内容は下記のとおりである。


「昨日はお疲れ様でした。

おかげさまで,Quick Photo Service 始まって以来の売上がありました。

ありがとうございました。

さて,初めに著作権云々との事ですが,去年3月にQuick Photo Serviceが始まる以前に二人で中央のロイヤルホストで企画書をお見せしたことをお覚えでしょうか?

そこに

『大会主催者様へ

大会主催者様には,当日撮影した全てのデータを後日CD-Rにて差し上げますので,ホームページ,パンフレット等の媒体に自由に使用する事が出来ます。(写真,データの販売は出来ません)』

top

また,

『販売料金例

当日プリント105×150 1枚1000円

当日プリント105×150 5枚4000円

著作権フリーデータ1枚分1200円

(データはCD-Rにて後日郵送)と,明記してあります。

今まで,『それらの事柄に賛同した上で写真を撮ってもらっていた』と解釈しておりました。

更に,Xさんには『一枚売れていくら』と言う契約ではなく,『一日の撮影報酬』と言う形でお手伝い頂いている訳です。


上記の事を踏まえると,アップデザインへの直接のメールや,ライコ側へのデータ使用料の請求と言うのは筋違いではないでしょうか?

(以下略)」

top

(12) これに対し控訴人は平成18年9月22日にAに返信したが(乙19),その内容は下記のとおりであった。


「A様

メールありがとうございます。

以下,私の考えです。

・・・(中略)・・・

この話はオートボーイ杯に関しての事で,ライコランド走行会に関してはお話ししておりません。

会社が違ければ,契約もまた別の話し。

ライコをやる以前に,Xから改めて契約の話しをしましたよね!

なぜ,その時具体的に話しをしなかったのでしょうか?

少なくとも,私は意見差し上げましたが,A様側からは具体的な話しは無し!


top
・・・(中略)・・・

筋違いかどうかは分かりませんが,私は御社の従業員の前にX写真事務所の人間です。契約どうこういう以前に,写真家の撮影した写真は御社の物ではございません!

写真の使い方に関しては,契約どうこうに著作者であるXにいつ,どのような使い方をするとい言う事が伝える必要があるのでは?

この場合,著作者への無断使用!(著作権の侵害)にあたります。

(以下略)」

なお,同日,Aは控訴人に対し,添付ファイルの形で前記(4)の企画書(乙1)を送信した。

因みに上記第1,2回ライコランド走行会の撮影料各2万円も,本件各走行会の翌月末までに控訴人に支払われている。

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(13) 控訴人が撮影した第1回ライコランド走行会の写真は,走行会終了後,ライコランド社のホームページ及び第2回走行会の広告用ポスターに,第2回ライコランド走行会の写真は,走行会終了後,ライコランド社のホームページに掲載された。本件各走行会の模様を伝える写真として掲載された上記ホームページ上の本件写真には「PHOTO BY X」,ポスター上の本件写真には「PHOTO X」のクレジットが付されている。

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2 著作権(複製権,譲渡権)侵害を理由とする損害賠償請求について



一審原告たる控訴人は,同人が平成18年7月13日の第1回ライコランド走行会及び同年9月21日のライコランド走行会で撮影した本件写真を被控訴人が控訴人の承諾なく主催者に提供し,これを受けたライコランド社が「ライコランドホームページ」及びイベント告知のポスターに掲載したことは,控訴人が有する本件写真に対する著作権(複製権,譲渡権)を侵害する違法な行為であると主張し,これに対し一審被告たる被控訴人は,本件写真は被控訴人のための職務著作であってその著作権は被控訴人に属する,仮にそうでないとしても上記提供は控訴人の予めの利用許諾を得ているから,違法でない等と主張する。そこで,前記1記載の事実関係を前提として,本件写真の職務著作性の有無,本件利用許諾の有無について,順次検討する。


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(1) 職務著作性の有無(争点1)



ア職務著作について定めた著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で,その法人等が自己の名義の下に公表するものの著作者は,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがない限り,その法人等とすると定めているところ,「法人等の業務に従事する者」に当たるか否かは,法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに,法人等の指揮監督下において労務を提供するという実体にあり,法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを,業務態様,指揮監督の有無,対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断すべきものと解される(最高裁平成15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)。

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イそこで,上記見解に立って本件をみるに,前記のとおり,控訴人は被控訴人の被用者ではなく,フリーのカメラマンとして個人で写真事務所を経営しているものあること,本件各走行会において控訴人は,本件写真販売事業においては控訴人の一般的指揮の下に撮影を行ったが,撮影に当たってはプロのカメラマンとしてこれを実施したこと,第1回走行会の前日である平成18年7月12日に,控訴人の撮影した写真であることを明示してもらうため被控訴人に対し,控訴人撮影のクレジットの挿入を要求し,現にライコランド社のホームページに掲載された本件写真には「PHOTO BYX」なる撮影クレジットが挿入されていること等の事実を認めることができ,これらを総合勘案すれば,控訴人は基本的には被控訴人との契約に基づきプロの写真家として行動していた者であり,被控訴人の指揮監督の下において労務を提供するという実体にあったとまで認めることはできない。

ウそうすると,本件写真は職務著作であるとする被控訴人の主張はこれを採用することができないことになり,これを肯定した原判決の見解は採用できないということになる。

そこで,進んで,原審における争点2(控訴人は,被控訴人が本件写真の電子データを本件各走行会の主催者に交付しそのホームページ等においてこれを利用することを許諾していたか)について,判断することとする。

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(2) 利用許諾の有無(争点2)



ア前記1の認定事実,ことに平成17年3月の合意の際に控訴人がAから本件企画書を示されていることは当事者間に争いがない上,本件企画書にはオートバイ走行会で撮影された写真の電子データを被控訴人から主催者に交付することが明記されており,その内容は被控訴人が本件写真販売事業を行うに際して重要な事項であることからすれば,Aはそのことを控訴人に説明したと認めるのが相当である。また,控訴人は,Aからの指示により,オートボーイ杯において控訴人が撮影した写真の電子データを自ら媒体に記録して主催者に持参したことがあったが,これにつき控訴人はAに対し異議を述べたことはない上,本件各走行会後に本件写真の著作者をめぐって控訴人とAとの間で交わされた電子メールの中で,控訴人はAから平成17年3月の合意の際に示した本件企画書中に上記電子データの扱いについての記載があることを指摘されたのに対し,「この話はオートボーイ杯に関しての事で,ライコランド走行会に関してはお話ししておりません。」と返信しており,主催者への無償提供に関する説明を受けたこと自体は否定していないところ,かかる控訴人の態度は,オートバイ走行会で控訴人が撮影した写真の電子データを被控訴人から主催者に交付することを承諾していたことを前提としたものであるといえる。そうすると,Aは,平成17年3月の合意の際,控訴人に対し,本件業務において扱った写真データは,後日走行会の主催者側に販売以外の目的,具体的にはホームページ上での写真の掲載及び告知用ポスターへの掲載を目的として記録媒体により無償で提供することを説明し,控訴人はこれを承諾したと認めるのが相当である。


イ控訴人は,本件第1回走行会前の平成18年7月12日,Aに対し,本件第1回走行会において控訴人が撮影する写真の著作者は自分である旨のメール(甲5)を送信し,その中で,主催者側がポスター・ウェブサイト等で控訴人の写真を使用する場合は使用許可が必要である旨の内容が含まれているが,控訴人が上記メールをAに送信したのは本件第1回走行会の前日という時間的猶予のない段階である上,被控訴人が控訴人の意向を承諾したと認めることもできないことからすれば,上記メールをもって前記利用許諾の合意が変更されたと認めることはできない。


ウそうすると,控訴人は,本件各走行会の終了後,被控訴人が本件写真を走行会の主催者に販売以外の目的,具体的にはホームページ上での写真の掲載及び告知用ポスターへの掲載を目的として記録媒体により無償で提供することを許諾していたと認めることができる。


(3) 以上のとおり,控訴人が撮影した本件写真について職務著作は成立せずその著作権は控訴人にあることになるが,控訴人は被控訴人に対し予めその利用許諾をしていたことになるので,本訴請求のうち著作権侵害(356万円と付帯請求)に係る部分は理由がないことになる。

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3 著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)侵害を理由とする損害賠償請求について


一審原告たる控訴人は,被控訴人がアップデザインズ社を通じてライコランド社に本件写真の電子データを提供し,控訴人の承諾なく画像サイズが縮小されるなどした上,控訴人のクレジットが付されて同社のホームページやポスターに掲載したことにより,著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)が侵害されたと主張するのに対し,一審被告たる被控訴人は,本件写真をライコランド社のホームページに掲載したのは被控訴人ではないし,控訴人のクレジットが付されたのは控訴人の要望によるものであるから,著作者人格権侵害はない等と主張するので,以下検討する。


(1) 前記1の認定事実によれば,本件写真は,本件各走行会において,被控訴人の販売用テント前でインデックス写真等として展示されていることが認められる。そして,著作物は展示の方法で公衆に提示された場合において公表されたものとなるところ(著作権法4条1項),控訴人は本件写真を本件各走行会において即時販売用に展示することは承諾していたと認められるから,本件写真がライコランド社のホームページやポスターに掲載された時点では既に著作者の同意を得た公表がされていることになり,著作権法18条1項の「まだ公表されていないもの(著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む。)」に該当しない。


なお,控訴人は著作権法にいう公表とはメディアに公表することであると主張するが,かかる見解は独自の見解であって採用することができない。

よって,控訴人の公表権侵害を認めることはできない。

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(2) また前記1の認定事実によれば,ライコランド社のホームページやポスターに控訴人の撮影クレジットが掲載されたのは,控訴人の要望によるものであることが認められる。したがって,控訴人の意に反する氏名の表示がなされたと認めることはできず,氏名表示権侵害の事実を認めることはできない。

(3) さらに,本件写真がライコランド社のホームページや広告用ポスターにおいて,サイズの縮小やトリミング加工がなされた状態で掲載されていることを認めるに足りる証拠はないし,被控訴人が本件写真の電子データのサイズの縮小やトリミング加工を施したことを認めるに足りる証拠もない。よって,控訴人主張の同一性保持権侵害の事実を認めることはできない。

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4 結語


以上のとおり,控訴人の撮影した本件写真につき職務著作性を認めることはできず,これを肯定した原判決は失当であるが,控訴人は被控訴人に対し本件写真の無償利用の許諾をしており,かつ著作者人格権侵害の事実も認められないから,控訴人の本件損害賠償請求は理由がない。

そうすると,控訴人の本訴請求を棄却した原判決は,結論において相当であるから,本件控訴は理由がなく,これを棄却すべきである。

よって,主文のとおり判決する。
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判決原文(全文)




平成21(ネ)10051 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟平成21年12月24日 知的財産高等裁判所




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平成21年12月24日判決言渡平成21年(ネ)第10051号損害賠償請求控訴事件(原審・水戸地裁龍ヶ崎支部平成20年(ワ)第52号)

口頭弁論終結日平成21年11月24日

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判決



控訴人X

被控訴人有限会社東洋コムテック

訴訟代理人弁護士堀川敦

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主文



1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

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事実及び理由




第1 控訴人の求めた裁判



1 原判決を取り消す。

2 被控訴人は,控訴人に対し,506万円及びこれに対する平成20年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

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第2 事案の概要



【略語は原判決の例による】

1 一審原告たる控訴人は,フリーのカメラマンであり,個人で写真事務所を経営している。

一審被告たる被控訴人は,電気工事業等を行う有限会社(平成18年5月1日以降は特例有限会社)であり,その代表者であるAは,かつてはアマチュアのオートバイレーサーをしていたことがある。

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2 一審被告たる被控訴人は,平成17年2月ころ,オートバイレース参加者の走行中の写真を撮影しそれをレース終了後即時に販売する事業(本件写真販売事業)を企画し,平成17年3月上旬ころ一審原告たる控訴人に対し,同事業の内容を説明して参加を持ち掛け,控訴人が本件写真販売事業の写真撮影を行うことで合意した。控訴人は,上記合意に基づき,平成17年5月・7月・8月・9月・11月及び平成18年1月・3月・5月のオートボーイ杯等(合計8回)の撮影を行ったほか,筑波サーキットで行われた平成18年7月13日の第1回ライコランド走行会・同年9月21日の第2回ライコランド走行会でもその写真撮影を行った。

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3 本件訴訟は,



控訴人が上記第1回及び第2回ライコランド走行会において撮影して控訴人に提供した,走行中のオートバイを被写体とする写真(本件写真)につき,被控訴人がアップデザインズ社を通じてライコランド社にその電子データを提供し,同社が控訴人の承諾なく上記写真を自らのホームページやポスターに掲載したことから,控訴人が被控訴人に対し,上記写真についての著作権(複製権,譲渡権)及び著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)の侵害を理由とする損害賠償請求として,著作権侵害分356万円・著作者人格権侵害分150万円の合計506万円及びこれに対する訴状送達の後である平成20年5月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

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4 原審における争点は,



①本件写真は使用者たる被控訴人のために作成された職務著作であるか(著作権法15条1項),②控訴人は,被控訴人が本件写真の電子データを本件各走行会の主催者に交付し,そのホームページ等においてこれを利用することを許諾していたか,③その損害額,等であった。原審の水戸地裁龍ヶ崎支部は,平成21年6月26日,上記争点①について本件写真の職務著作性を肯定して控訴人の請求を棄却したので,これに不服の控訴人が本件控訴を提起した。

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5 当審における争点も,原審における争点と同様である。



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第3 当事者の主張



当事者双方の主張は,次に付加するほか,原判決「第2 事案の概要」及び「第3 争点」記載のとおりであるからこれを引用する。




1 当審における控訴人の主張



控訴人の主張の詳細は,別紙控訴理由書記載のとおりである。その要点は,本件における事実関係の下では本件写真が被控訴人のための職務著作に該当しない,等とするものである。



2 当審における被控訴人の主張



本件写真につき職務著作性を肯定した原判決は正当であり,控訴人の主張は理由がないとするものである。

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第4 当裁判所の判断



当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がないと判断する。その理由は,原判決第2,2「前提となる事実」のほか,次のとおりである。

1 証拠(甲1~7,10,12,乙1,2の1・2,3の1・2,4の1・2,5,6,9,10,11の1・2,18,19,24,第一審原告本人,第一審被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。

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(1) 控訴人は,フリーのカメラマンであり,個人で写真事務所を経営している。

一方,被控訴人は,電気工事業,写真の撮影,加工及び販売等を行う有限会社であり,その代表者であるAは,かつてはアマチュアのオートバイレーサーをしていたことがあり,控訴人とは中学の同級生の関係にある。(なお,控訴人は被控訴人は電気工事以外できない会社である等と主張するが,被控訴人は,本件写真販売事業を行うことにより,写真の撮影,加工及び販売を行っているといえるし,被控訴人が撮影機材を所有していないことや写真撮影のできる社員が存在しないことは,原判決及び上記認定を覆すものではない。)

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(2) 被控訴人代表者Aは,平成17年2月ころ,オートバイレース参加者の走行中の写真を撮影し,それをレース終了後直ちに販売する本件写真販売事業を企画し,同年3月上旬ころ,控訴人に対し,同事業の内容を説明して参加を持ち掛け,控訴人が本件写真販売事業の写真撮影を行うこと,報酬は1回当たり2万円とすることを合意した。

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(3) 上記合意は口頭によるものであり,契約書が交わされることはなかったが,被控訴人代表者Aは控訴人に対し,被控訴人が走行会主催者に提出する企画書(乙1)を提示し,その概要を説明した(同書の交付はしていない。)。

なお,本件写真販売事業において,走行写真のデータを無償で走行会主催者に交付し,ホームページ等での自由な使用を許諾することは,被控訴人が走行会主催者から無料での出店承認を得る上でセールスポイントとなるものであった。

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(4) 上記企画書の内容は,

その1頁が「Quick Photo Service

~思い出の一瞬をプロのカメラマンが撮影~

企画(有)東洋コムテック」

その2頁が「例えば・・・

・プロのカメラマンにかっこいい写真を撮ってもらいたいけど,どこに言えばいいのか・・・

・友人が写真を撮ってくれるけど,いまいち・・・

・デジカメで写真を撮ってもらったけど引き延ばしたら画像が悪くなってしまった。

・大会の打ち上げで写真を見ながら盛り上がりたい!」

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その3頁が「Concept》

アマチュアスポーツ大会,イベント等において,プロカメラマンにより写真を撮影,商用昇華型プリンターならではの精彩な写真をプリンティング。大会,イベントの興奮をリアルタイムに会場内にて展示,販売。」

その4頁が「Q.プロのカメラマンに写真を撮ってほしいですか?(以下略)」

その10頁が「大会主催者様へ

・エントラント様へのサービスの一環としてお考え下さい。


・大会主催者様には,当日撮影した全てのデータを後日CD-Rにて差し上げますので,ホームページ,パンフレット等の媒体に自由に使用する事が出来ます。(写真,データの販売は出来ません)」等とするものであった。


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(5) 上記合意に基づき,控訴人は,平成17年5月・7月・8月・9月・11月及び平成18年1月・3月・5月に開催されたオートボーイ杯等の写真撮影をしてこれを被控訴人に提供し,被控訴人は控訴人からの請求に基づき翌月末にその報酬として各2万円(うち1回だけ実働時間が短かったため1万2000円)を支払った。

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(6) 控訴人は,Aからの指示により,オートボーイ杯において控訴人が撮影した写真の電子データを自ら媒体に記録して主催者に持参したことがあったが,これにつき控訴人はAに対し異議を述べたことはなかった。

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(7) 本件訴訟の対象となっている写真(本件写真)は,平成18年7月13日に開催された第1回ライコランド走行会及び同年9月21日開催された第2回ライコランド走行会に関するものであるが,上記第1回走行会の前日である平成18年7月12日に至り,控訴人は被控訴人代表者Aに下記内容のメール(甲5)を送信したが,これを受けたAは特段の返答をすることはなかった。

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「おつかれです。

Xです。明日の走行会でひとつ御願いが・・・。

画像データの販売について。

基本的には販売しない方向で,考える。

もし,販売する場合!必ずXの撮影「クレジット」を入れて販売する。

・・・(中略)・・・

要は,著作者の権利はXに有る!と言う事を確認したいのと,

主催者側が,宣伝,告知などの営利目的(ポスター,WEBサイト等)でのXの写真を使用する場合はXへの使用許可が必要である,などの確認です。

※オートボーイでの走行会や,レースではプリント販売以外の使用に関しての取り決めを行っておりませんでしたので,確認のメールです。

以上の事で御願いします。」

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(8) Aは,第1回ライコランド走行会当日,控訴人が隣にいる席で,アップデザインズ社に対し,ライコランド社のホームページに控訴人の撮影した写真を載せる際,控訴人の名前を表示するよう依頼し,アップデザインズ社はこれを了承した。

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(9)ア本件写真販売事業は,パソコンでの印刷等を行うPCデータ班(1名又は2名),宣伝及び販売等の接客を行う受付(1名から3名),撮影(1名),撮影補助(受付も兼ねる。1名)に分かれて行われた。

具体的には,撮影担当は,サーキットコース内で参加者の走行写真を撮影し,当該写真のデータが記録された媒体をその場で撮影補助担当に渡し,撮影補助担当は,走行会会場内に駐車した被控訴人の車両内で印刷作業を行うPCデータ班に当該媒体を渡し,PCデータ班はインクジェットプリンタで各参加者のインデックス写真を印刷するとともに,「本日のベストショット」と称する見本写真を実際の販売用写真に用いる高性能の昇華型プリンタで印刷することを行った。

見本写真と各参加者のインデックス写真は,上記車両の近くに設営された販売ブース(テント)に展示され,受付担当が参加者の購入申込みを受け付けた。購入を希望する参加者は,自分のインデックス写真の中から希望する写真の番号を申込用封筒に記入して購入を申し込み,申込みがあると,PCデータ班が昇華型プリンタで当該写真を印刷し,受付担当がこれを購入希望者に交付して販売した。


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イAは,あらかじめ,本件業務における各担当者の作業と円滑な運営や販売成績向上のための各担当ごとの留意点等を定め,これを書面化したもの(乙3の1・2)を各担当者に交付して打合せを行うなどして,必要事項を伝達したが,Aが控訴人の写真撮影に関してした指示は,概ね次のようなものである。

(ア) 撮影場所について,本件写真販売事業を始めた当初は,撮影するコーナー,カーブを「第1ヘアピンカーブ」などと具体的に指示した。ただし,控訴人が撮影に慣れてきてからは,控訴人に撮影場所の選択を任せることもあった。また,1人の購入者に3枚以上の写真を販売することを目標とし,3枚以上の写真購入者には価格を割り引くサービスを実施していたため,同一の参加者につき異なる構図の走行写真を3枚用意できるように,3か所以上で撮影するように指示した。


(イ) 被写体について,参加者全員の写真を販売するため,AらPCデータ班が,参加者のリストと販売用に展示する写真とを照らし合わせながら,撮影されていない,又は3つ以上の構図で撮影されていない参加者の車両番号等を伝え,また,普段走行会で多数の写真を購入する参加者の車両番号等も伝えて,こうした参加者の走行写真を撮影するように指示した。

(ウ) 昇華型プリンタの性能,設定に合わせて適正に印刷するため,縦長で撮影することを禁止し,画像サイズはLサイズではなくSサイズと指定した。

(エ) 撮影した写真の電子データ授受の方法について,参加者に走行直後での写真販売という特長を宣伝するため,走行会開始後しばらくは比較的短い間隔で記録媒体をPCデータ班に渡すように指示した。

ウ控訴人は,撮影機材として,走行するオートバイを撮影するのに適した連続撮影の可能なカメラ(デジタルスチールカメラ)を選び,その他,オートバイを大きく写すなどするためのレンズと2倍のエクステンダー,一脚等を準備した上,走行するオートバイを撮影するのに最適なシャッタースピード,絞り値(光量),ISO感度を選択して撮影をした。

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(10) 第2回ライコランド走行会の翌日である平成18年9月22日に控訴人は被控訴人代表者Aにメール(乙18)を送信したが,その内容は下記のとおりである。


「お疲れ様です,Xです。

本来ならば,直接話して意見を言いたい所なのですが,忙しそうなのでメール差し上げました。

・・・(中略)・・・

XとA仲だから,ぶっちゃけて言いますよ!

ライコランド側に,データーを無料提供は待って欲しい。

撮影者への使用許可と?と言うかライコ側からのデータ使用料(ギャラ)の請求をしたいと考えたいのですが!

Xが撮影した写真をライコのポスターに使うのであれば,当然の事でしょ!

(以下略)」


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(11) 被控訴人代表者Aは,平成18年9月22日には上記メールに対し返信のメール(甲7)を送信したが,その内容は下記のとおりである。


「昨日はお疲れ様でした。

おかげさまで,Quick Photo Service 始まって以来の売上がありました。

ありがとうございました。

さて,初めに著作権云々との事ですが,去年3月にQuick Photo Serviceが始まる以前に二人で中央のロイヤルホストで企画書をお見せしたことをお覚えでしょうか?

そこに

『大会主催者様へ

大会主催者様には,当日撮影した全てのデータを後日CD-Rにて差し上げますので,ホームページ,パンフレット等の媒体に自由に使用する事が出来ます。(写真,データの販売は出来ません)』

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また,

『販売料金例

当日プリント105×150 1枚1000円

当日プリント105×150 5枚4000円

著作権フリーデータ1枚分1200円

(データはCD-Rにて後日郵送)と,明記してあります。

今まで,『それらの事柄に賛同した上で写真を撮ってもらっていた』と解釈しておりました。

更に,Xさんには『一枚売れていくら』と言う契約ではなく,『一日の撮影報酬』と言う形でお手伝い頂いている訳です。


上記の事を踏まえると,アップデザインへの直接のメールや,ライコ側へのデータ使用料の請求と言うのは筋違いではないでしょうか?

(以下略)」

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(12) これに対し控訴人は平成18年9月22日にAに返信したが(乙19),その内容は下記のとおりであった。


「A様

メールありがとうございます。

以下,私の考えです。

・・・(中略)・・・

この話はオートボーイ杯に関しての事で,ライコランド走行会に関してはお話ししておりません。

会社が違ければ,契約もまた別の話し。

ライコをやる以前に,Xから改めて契約の話しをしましたよね!

なぜ,その時具体的に話しをしなかったのでしょうか?

少なくとも,私は意見差し上げましたが,A様側からは具体的な話しは無し!


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・・・(中略)・・・

筋違いかどうかは分かりませんが,私は御社の従業員の前にX写真事務所の人間です。契約どうこういう以前に,写真家の撮影した写真は御社の物ではございません!

写真の使い方に関しては,契約どうこうに著作者であるXにいつ,どのような使い方をするとい言う事が伝える必要があるのでは?

この場合,著作者への無断使用!(著作権の侵害)にあたります。

(以下略)」

なお,同日,Aは控訴人に対し,添付ファイルの形で前記(4)の企画書(乙1)を送信した。

因みに上記第1,2回ライコランド走行会の撮影料各2万円も,本件各走行会の翌月末までに控訴人に支払われている。

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(13) 控訴人が撮影した第1回ライコランド走行会の写真は,走行会終了後,ライコランド社のホームページ及び第2回走行会の広告用ポスターに,第2回ライコランド走行会の写真は,走行会終了後,ライコランド社のホームページに掲載された。本件各走行会の模様を伝える写真として掲載された上記ホームページ上の本件写真には「PHOTO BY X」,ポスター上の本件写真には「PHOTO X」のクレジットが付されている。

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2 著作権(複製権,譲渡権)侵害を理由とする損害賠償請求について



一審原告たる控訴人は,同人が平成18年7月13日の第1回ライコランド走行会及び同年9月21日のライコランド走行会で撮影した本件写真を被控訴人が控訴人の承諾なく主催者に提供し,これを受けたライコランド社が「ライコランドホームページ」及びイベント告知のポスターに掲載したことは,控訴人が有する本件写真に対する著作権(複製権,譲渡権)を侵害する違法な行為であると主張し,これに対し一審被告たる被控訴人は,本件写真は被控訴人のための職務著作であってその著作権は被控訴人に属する,仮にそうでないとしても上記提供は控訴人の予めの利用許諾を得ているから,違法でない等と主張する。そこで,前記1記載の事実関係を前提として,本件写真の職務著作性の有無,本件利用許諾の有無について,順次検討する。


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(1) 職務著作性の有無(争点1)

ア職務著作について定めた著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で,その法人等が自己の名義の下に公表するものの著作者は,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがない限り,その法人等とすると定めているところ,「法人等の業務に従事する者」に当たるか否かは,法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに,法人等の指揮監督下において労務を提供するという実体にあり,法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを,業務態様,指揮監督の有無,対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断すべきものと解される(最高裁平成15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)。

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イそこで,上記見解に立って本件をみるに,前記のとおり,控訴人は被控訴人の被用者ではなく,フリーのカメラマンとして個人で写真事務所を経営しているものあること,本件各走行会において控訴人は,本件写真販売事業においては控訴人の一般的指揮の下に撮影を行ったが,撮影に当たってはプロのカメラマンとしてこれを実施したこと,第1回走行会の前日である平成18年7月12日に,控訴人の撮影した写真であることを明示してもらうため被控訴人に対し,控訴人撮影のクレジットの挿入を要求し,現にライコランド社のホームページに掲載された本件写真には「PHOTO BYX」なる撮影クレジットが挿入されていること等の事実を認めることができ,これらを総合勘案すれば,控訴人は基本的には被控訴人との契約に基づきプロの写真家として行動していた者であり,被控訴人の指揮監督の下において労務を提供するという実体にあったとまで認めることはできない。

ウそうすると,本件写真は職務著作であるとする被控訴人の主張はこれを採用することができないことになり,これを肯定した原判決の見解は採用できないということになる。

そこで,進んで,原審における争点2(控訴人は,被控訴人が本件写真の電子データを本件各走行会の主催者に交付しそのホームページ等においてこれを利用することを許諾していたか)について,判断することとする。

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(2) 利用許諾の有無(争点2)



ア前記1の認定事実,ことに平成17年3月の合意の際に控訴人がAから本件企画書を示されていることは当事者間に争いがない上,本件企画書にはオートバイ走行会で撮影された写真の電子データを被控訴人から主催者に交付することが明記されており,その内容は被控訴人が本件写真販売事業を行うに際して重要な事項であることからすれば,Aはそのことを控訴人に説明したと認めるのが相当である。また,控訴人は,Aからの指示により,オートボーイ杯において控訴人が撮影した写真の電子データを自ら媒体に記録して主催者に持参したことがあったが,これにつき控訴人はAに対し異議を述べたことはない上,本件各走行会後に本件写真の著作者をめぐって控訴人とAとの間で交わされた電子メールの中で,控訴人はAから平成17年3月の合意の際に示した本件企画書中に上記電子データの扱いについての記載があることを指摘されたのに対し,「この話はオートボーイ杯に関しての事で,ライコランド走行会に関してはお話ししておりません。」と返信しており,主催者への無償提供に関する説明を受けたこと自体は否定していないところ,かかる控訴人の態度は,オートバイ走行会で控訴人が撮影した写真の電子データを被控訴人から主催者に交付することを承諾していたことを前提としたものであるといえる。そうすると,Aは,平成17年3月の合意の際,控訴人に対し,本件業務において扱った写真データは,後日走行会の主催者側に販売以外の目的,具体的にはホームページ上での写真の掲載及び告知用ポスターへの掲載を目的として記録媒体により無償で提供することを説明し,控訴人はこれを承諾したと認めるのが相当である。


イ控訴人は,本件第1回走行会前の平成18年7月12日,Aに対し,本件第1回走行会において控訴人が撮影する写真の著作者は自分である旨のメール(甲5)を送信し,その中で,主催者側がポスター・ウェブサイト等で控訴人の写真を使用する場合は使用許可が必要である旨の内容が含まれているが,控訴人が上記メールをAに送信したのは本件第1回走行会の前日という時間的猶予のない段階である上,被控訴人が控訴人の意向を承諾したと認めることもできないことからすれば,上記メールをもって前記利用許諾の合意が変更されたと認めることはできない。


ウそうすると,控訴人は,本件各走行会の終了後,被控訴人が本件写真を走行会の主催者に販売以外の目的,具体的にはホームページ上での写真の掲載及び告知用ポスターへの掲載を目的として記録媒体により無償で提供することを許諾していたと認めることができる。


(3) 以上のとおり,控訴人が撮影した本件写真について職務著作は成立せずその著作権は控訴人にあることになるが,控訴人は被控訴人に対し予めその利用許諾をしていたことになるので,本訴請求のうち著作権侵害(356万円と付帯請求)に係る部分は理由がないことになる。

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3 著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)侵害を理由とする損害賠償請求について


一審原告たる控訴人は,被控訴人がアップデザインズ社を通じてライコランド社に本件写真の電子データを提供し,控訴人の承諾なく画像サイズが縮小されるなどした上,控訴人のクレジットが付されて同社のホームページやポスターに掲載したことにより,著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)が侵害されたと主張するのに対し,一審被告たる被控訴人は,本件写真をライコランド社のホームページに掲載したのは被控訴人ではないし,控訴人のクレジットが付されたのは控訴人の要望によるものであるから,著作者人格権侵害はない等と主張するので,以下検討する。


(1) 前記1の認定事実によれば,本件写真は,本件各走行会において,被控訴人の販売用テント前でインデックス写真等として展示されていることが認められる。そして,著作物は展示の方法で公衆に提示された場合において公表されたものとなるところ(著作権法4条1項),控訴人は本件写真を本件各走行会において即時販売用に展示することは承諾していたと認められるから,本件写真がライコランド社のホームページやポスターに掲載された時点では既に著作者の同意を得た公表がされていることになり,著作権法18条1項の「まだ公表されていないもの(著作者の同意を得ないで公表された著作物を含む。)」に該当しない。


なお,控訴人は著作権法にいう公表とはメディアに公表することであると主張するが,かかる見解は独自の見解であって採用することができない。

よって,控訴人の公表権侵害を認めることはできない。

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(2) また前記1の認定事実によれば,ライコランド社のホームページやポスターに控訴人の撮影クレジットが掲載されたのは,控訴人の要望によるものであることが認められる。したがって,控訴人の意に反する氏名の表示がなされたと認めることはできず,氏名表示権侵害の事実を認めることはできない。

(3) さらに,本件写真がライコランド社のホームページや広告用ポスターにおいて,サイズの縮小やトリミング加工がなされた状態で掲載されていることを認めるに足りる証拠はないし,被控訴人が本件写真の電子データのサイズの縮小やトリミング加工を施したことを認めるに足りる証拠もない。よって,控訴人主張の同一性保持権侵害の事実を認めることはできない。

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4 結語


以上のとおり,控訴人の撮影した本件写真につき職務著作性を認めることはできず,これを肯定した原判決は失当であるが,控訴人は被控訴人に対し本件写真の無償利用の許諾をしており,かつ著作者人格権侵害の事実も認められないから,控訴人の本件損害賠償請求は理由がない。

そうすると,控訴人の本訴請求を棄却した原判決は,結論において相当であ
るから,本件控訴は理由がなく,これを棄却すべきである。

よって,主文のとおり判決する。

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知的財産高等裁判所第2部

裁判長裁判官中野哲弘

裁判官今井弘晃

裁判官真辺朋子

以下別紙省略
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Last Update: 2011-01-21 17:19:03 JST

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