2011年7月27日水曜日

著作権:知財高裁平成23年7月27日判決(平成22年(ネ)第10080号 譲受債権請求承継参加申立控訴事件)

知財高裁平成23年7月27日判決(平成22年(ネ)第10080号 譲受債権請求承継参加申立控訴事件)
http://tyosaku.hanrei.jp/hanrei/cr/9243.html

【コメント】
話題にはなりましたが,契約の解釈が争点となります。
著作権,複製権と書いてあれば,
「著作権」「複製権」には,「翻案権」は含まない旨は説得力ありますね。



第2 事案の概要
以下,略語は,原判決と同様のものを用いる。また,原判決の別紙第一目録,第
二目録及びウルトラマンキャラクター一覧表(別紙一覧表)を,いずれも引用する。

本件は,参加人が,別紙第二目録記載の各著作物(本件著作物)の著作権者であ
る被告に対し,①第1審脱退原告(脱退原告)は,別紙第一目録添付の契約書(本
件契約書)に記載された内容の契約(本件契約)に基づき,被告から,本件著作物
の日本以外の国における独占的利用権(本件独占的利用権)の許諾を受けた,②被
告は,日本以外の国において,第三者に対し,本件著作物や,同著作物の製作後に
被告が製作したいわゆるウルトラマンキャラクターの登場する映画作品及びこれら
を素材にしたキャラクター商品の利用を許諾している,③上記②の被告の行為は,
本件契約に違反するものであり,被告は,脱退原告に対し,本件契約の債務不履行
に基づく損害賠償義務ないし上記②の第三者から得た許諾料につき不当利得返還義
務を負う,④参加人は,脱退原告から,上記の損害賠償請求権及び不当利得返還請
求権を譲り受けた,と主張して,上記損害賠償請求権の一部請求又は上記不当利得
返還請求権の一部請求(選択的請求)として,1億円及びこれに対する平成18年
5月26日(被参加事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年
6分の割合による遅延損害金(不当利得返還請求の場合は,民法704条前段所定
の年5分の割合による法定利息。)の支払を求めた事案である。

原判決は,参加人主張の被告の債務不履行のうち,被告が,バンダイ(当審にお
ける被告補助参加人。以下「補助参加人」という。)に対し,平成8年9月1日か
ら平成9年12月31日まで,別紙一覧表記載(1) の各キャラクター(旧ウルトラ
マンキャラクター)に属する5個のキャラクターについて韓国等の外国における利
用権をライセンスし,当該ライセンス期間を現在に至るまで更新している行為が本
件契約の債務不履行に当たり,脱退原告にライセンス料相当額の損害が発生してお
り,かつ,当該ライセンス料相当額について脱退原告に損失が生じ,被告が利得し
たと認定した上,本件契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権については一部商
事消滅時効が成立するため,不当利得返還請求権に基づく認容額の方がより高額で
あるとして,参加人の請求のうち,被告に対する不当利得返還請求に基づき163
6万3636円及びこれに対する平成18年5月26日から支払済みまで年5分の
割合による法定利息の支払を求める限度で認容し,その余の請求を棄却した。

当裁判所の判断

「「参加人は,本件契約の第3条3.2にいう制作権(Production Right)に,本件
著作物の二次的著作物を制作する権利ないし翻案権が含まれることを前提として,
被告が,本件契約に基づき,本件著作物及びそこに登場するウルトラマンキャラク
ター(旧ウルトラマンキャラクター)に類似するキャラクター(新ウルトラマンキ
ャラクター)の利用を第三者に許諾してはならない義務を負う旨主張する。しかし,
参加人の主張は失当である。制作権(Production Right)の通常の語義からすれば,
本件著作物の二次的著作物を制作する権利ないし翻案権が含まれると理解すること
は困難であり,本件契約において,特に,『制作権(Production Right)』の語に
そのような権利が含まれると解すべき事情があるとも認められない。また,本件契
約の第3条3.4に著作権(Copyright )と記載されているところ,『著作権
(Copyright )』の語に著作権の支分権である翻案権が含まれるとするならば,同
3.3に『複製権』と記載されていることと整合しないから,上記『著作権
(Copyright )』に支分権である翻案権が含まれるとは解されない。したがって,
被告が,本件契約に基づき,新ウルトラマンキャラクターの利用を第三者に許諾し
てはならない義務を負うとはいえない。」」