2011年4月14日木曜日

特許:【実施可能要件】「判断基準」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))

特許:【実施可能要件】「判断基準」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))(縮小版あり)

(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))


平成22(行ケ)10247 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月14日 知的財産高等裁判所 

第2 事案の概要
本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,特許請求の範囲の記載を下記
2とする本件出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁が,同請求は
成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のと
おり)には,下記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。

2 取消事由(本願発明1の実施可能要件違反の認定判断の誤り)について
 実施可能要件の意義
法36条4項は,「発明の詳細な説明は,…その発明の属する技術の分野におけ
る通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記
載しなければならない」と規定している(以下「実施可能要件」ということがあ
る。)。
特許制度は,発明を公開する代償として,一定期間発明者に当該発明の実施につ
き独占的な権利を付与するものであるから,明細書には,当該発明の技術的内容を
一般に開示する内容を記載しなければならない。法36条4項が上記のとおり規定
する趣旨は,明細書の発明の詳細な説明に,当業者が容易にその実施をすることが
できる程度に発明の構成等が記載されていない場合には,発明が公開されていない
ことに帰し,発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くこ
とになるからであると解される。
そして,本件のような物の発明における発明の実施とは,その物を生産,使用等
をすることをいうから(特許法2条3項1号),物の発明については,その物を製
造する方法についての具体的な記載が必要であるが,そのような記載がなくても明
細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき当業者がその物を製造するこ
とができるのであれば,実施可能要件を満たすということができる。

【縮小版】
「実施可能要件の意義」

「法36条4項は,「発明の詳細な説明は,…その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記載しなければならない」と規定している(以下「実施可能要件」ということがある。)。
特許制度は,発明を公開する代償として,一定期間発明者に当該発明の実施につき独占的な権利を付与するものであるから,明細書には,当該発明の技術的内容を一般に開示する内容を記載しなければならない。法36条4項が上記のとおり規定する趣旨は,明細書の発明の詳細な説明に,当業者が容易にその実施をすることができる程度に発明の構成等が記載されていない場合には,発明が公開されていないことに帰し,発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くことになるからであると解される。 そして,本件のような物の発明における発明の実施とは,その物を生産,使用等をすることをいうから(特許法2条3項1号),物の発明については,その物を製造する方法についての具体的な記載が必要であるが,そのような記載がなくても明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づき当業者がその物を製造することができるのであれば,実施可能要件を満たすということができる。」(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))

(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10247号 審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110419132527.html

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特許:【容易想到性」「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))

特許:【容易想到性」「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))

(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))


平成22(行ケ)10239 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月14日 知的財産高等裁判所

第2 事案の概要
本件は,原告らが,下記1のとおりの手続において,本件出願に対する拒絶査定
不服審判の請求について,特許庁が,特許請求の範囲を下記2からへと補正す
る本件補正を却下した上,同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件
審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4の取消事由があると主張し
て,その取消しを求める事案である。



(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10239号審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110419114237.html

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特許:【相違点認定,容易想到性】「事実認定」:(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))

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(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))

平成22(行ケ)10016 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年04月14日 知的財産高等裁判所


第2 事案の概要
本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,被告の下記2の本件発明に係
る特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たな
いとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,
下記4のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。

しかしながら,引用発明1の刃の稜線部に形成された凹凸は,あくまでもホイー
ルとガラス面とのスリップを防止する目的のために設けられたものである以上,微
細な山と谷とからなる凹凸にすぎないことについては,原告も争うものではない。
したがって,引用発明1の刃の稜線部に形成された凹凸によっては,ガラス表面
にスリップを防止することができる程度の打点が加えられることはあっても,ガラ
ス板に板圧を貫通するほどの極めて長い垂直クラックを発生させる程度の打点衝撃
を与えるものではないことは,引用例1の記載からも明らかである。原告の主張は,
引用発明1の突起の形状や大きさ,作用効果を無視したもので,相当ではない。
また,引用例1に示された図2は,引用発明1の刃先に形成された条痕によって
生じる,ホイールのスリップを防止するという効果は,ホイールにあたかも鋸の刃
先を形成した場合と同等の効果を有することを模式的に説明するために作成された
図にすぎず,引用発明1のホイールの刃先に,同図のような刃先が実際に形成され
ているわけでもない。
したがって,当業者は,図2をもって,「打点衝撃を与える所定形状の突起」に
係る示唆を与えられるものということはできない。原告の主張は,採用できない。
ウ 以上からすると,相違点1―1は,実質的な相違点であるというべきである。


(知財高裁平成23年4月14日判決(平成22年(行ケ)第10016号審決取消請求事件))
http://chizaibengoshi.appspot.com/20110419105131.html
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