2011年1月31日月曜日

特許:【侵害論,明細書の記載】「事実認定」:(知財高裁平成23年1月31日判決(平成22年(ネ)第10009号特許権侵害差止等請求控訴事件))






特許:【侵害論,明細書の記載】「事実認定」:(知財高裁平成23年1月31日判決(平成22年(ネ)第10009号特許権侵害差止等請求控訴事件))




知的財産高等裁判所第3部「飯村敏明コート」



縮小版なし・判決原文(引用)


(知財高裁平成23年1月31日判決(平成22年(ネ)第10009号特許権侵害差止等請求控訴事件))

しかし,原告の上記主張は採用することができない。すなわち,前記のとおり,本件特許発明における「平衡重りとして設計された当該可動重り」とは,その語義は明確ではないものの,明細書の記載等を考慮するならば,レベル・センサが,液体中に浸漬されてセンサ本体が傾き始め,水平位置に到達した後に,液体の密度と関連させたセンサの容積と重量の適切な選択によって,さらに水位レベルがセンサ本体より上昇しても,なおセンサ本体が水平位置を取るようにした重りのみが開示されていると解されること(本件明細書の段落【0014】,【0016】)に照らすならば,レベル・センサが,回転体の回転軸を中心として回転する運動を防止することに寄与する機能を有したものでありさえすれば,すべて,「平衡重りとして設計された当該可動重り」に該当するとの主張は採用の限りでない。

以上のとおり,被告製品は,構成要件Cを充足しない。



H230201現在のコメント【すべては弱い】


(知財高裁平成23年1月31日判決(平成22年(ネ)第10009号特許権侵害差止等請求控訴事件))

額が大きい争いですが,構成要件充足性判断に関する事実認定判決です。無理やりとれば,引用部分でしょうか。「すべては弱い」です。



判決原文(全文)




平成22(ネ)10009 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟平成23年01月31日 知的財産高等裁判所


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平成23年1月31日判決言渡平成22年(ネ)第10009号特許権侵害差止等請求控訴事件


(原審大阪地方裁判所平成20年(ワ)第10854号)
平成22年11月30日口頭弁論終結



判 決





主 文



1 本件各控訴をいずれも棄却する。

2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。

3 控訴人アイティティ・ウォーター・アンド・ウェイストウォーター・アクチボラグについて,この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。



事実及び理由





第1 控訴の趣旨





1 主位的控訴の趣旨


(1) 原判決を取り消す。

(2) 被控訴人は,別紙1物件目録記載の製品を製造し,販売し,若しくは,販売の申出をしてはならない。

(3) 被控訴人は,前項の製品及びその仕掛品を廃棄せよ。

(4) 被控訴人は,控訴人フリクト日本株式会社に対し,6億3510万円及びこれに対する平成20年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(5) 被控訴人は,控訴人アイティティ・ウォーター・アンド・ウェイストウォーター・アクチボラグに対し,3億3408万円及びこれに対する平成20年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
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(6) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

(7) 仮執行宣言



2 予備的控訴の趣旨


(1) 主位的控訴の趣旨(1)ないし(3),(5)ないし(7)と同じ

(2) 被控訴人は,控訴人フリクト日本株式会社に対し,4億0290万円及びこれに対する平成20年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3) 被控訴人は,控訴人アイティティ・ウォーター・アンド・ウェイストウォーター・アクチボラグに対し,2億0880万円及びこれに対する平成20年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

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第2 事案の概要及び当事者の主張等




1 事案の概要


控訴人アイティティ・ウォーター・アンド・ウェイストウォーター・アクチボラグ(原審原告)を「原告ITT」と,控訴人フリクト日本株式会社(原審原告)を「原告フリクト日本」と,被控訴人(原審被告)を「被告」という。また,原審において用いられた略語は,当審においてもそのまま用いる。

原審の経緯は,以下のとおりである。

原告ITTが被告に対し,別紙1物件目録記載の製品(被告製品)の製造販売をする被告の行為が,同原告の有する本件特許権(発明の名称「レベル・センサ」)を侵害すると主張して,特許法100条に基づき,被告製品の製造販売等の差止め及び被告製品等の廃棄を求めるとともに,不当利得返還請求権に基づき,利得金3億3408万円の支払を求め,後記原告フリクト日本の,特許法102条2項に基づいて算定した損害賠償請求が認められない場合の予備的請求として,特許法102条3項により算出した損害賠償金2億0880万円の支払を求めた。

また,原告フリクト日本が被告に対し,原告ITTから上記特許権について独占的通常実施権の設定を受けていると主張して,独占的通常実施権侵害の不法行為に基づき,主位的に,特許法102条2項により算出した損害賠償金6億3510万円の支払を求め,予備的に,特許法102条1項により算出した損害賠償金4億0290万円の支払を求めた。

これに対し,被告は,被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属さず,また,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであると主張して,これを争った。

原判決は,本件特許は,旧特許法36条5項1号の規定に違反してなされたものであり,特許無効審判により無効とされるべきものと認められるとして,特許法104条の3第1項により,原告らの請求をいずれも棄却した。原告らは,本件各控訴を提起した。

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2 争いのない事実等,争点,争点に対する当事者の主張は,次のとおり付加訂
正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」,「第3 争点」,
「第4 争点に関する当事者の主張」(原判決3頁25行目ないし43頁5行目)記
載のとおりであるから,これを引用する(なお,被告製品の構成に関する当事者の
主張は,別紙2被告製品説明書【原告の主張】,別紙3被告製品説明書【被告の主張】
のとおりである。)。
原判決10頁9行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「なお,本件特許発明の作用効果は,センサを液面下に浸漬させて強い水流や浮
遊汚染物の影響を受け難くし,強い水流や浮遊汚染物が生じる環境においても適切
なスイッチングを行えるようにした点にある。この点,被告製品は,クサリ(ル)
の有無にかかわらず,上記作用効果を奏するから,仮にクサリ(ル)の存在により,
本体ケース(イ)が所期の方向と逆方向に傾くことの防止,フロートのハンチング
による接点のバタツキ防止,比較的狭い場所での使用可能性等の付加的な作用効果
を奏するとしても,そのことが,被告製品が,本件特許発明の上記作用効果を奏す
ることを否定する理由にはならない。」
原判決10頁18行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
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「また,本件特許発明における「平衡重り」とは,レベル・センサの中空本体の
外形形状に着目し,「中空本体の外形」を「回転体」と捉えた場合,レベル・センサ
が液体中に浸漬された状態において,上記「回転体」の回転軸を中心として回転す
る運動を防止することで,平衡重りの表面の1つがマイクロスイッチを作動させて
いる位置で釣合のとれた安定した状態を保たせるように設計された可動重りを意味
する。これに対して,被告製品は,液体中に浸漬した状態において,平衡重り(ハ)
の存在により,本体ケース(イ)の「回転軸」を中心として回転する方向に力を受
けた場合でも,元の安定した状態に戻る力が与えられるから,上記「平衡重り」に
該当する。さらに,本件特許発明の構成要件B-1では,「・・・中空本体内に配置
したマイクロスイッチ(15)に接続された電気ケーブル(2)に自由懸垂状態に
取付けられた・・・」とされ,構成要件Hでは「・・・液体中に浸漬されていると
きセンサは垂直状態から傾きなお電気ケーブル(2)から自由懸垂状態にあること
を特徴とするレベル・センサ」とされている記載に照らすならば,本件特許発明に
係るレベル・センサは,空中及び液体中で自由懸垂状態になることは要件とされて
いるが,可動重りたる平衡重りのみで,自由懸垂状態になることは要件とされてい
ないと解するのが合理的である。この点,被告製品は,平衡重り(ハ)の重量は,
被告製品の全重量の約38%を占めており,被告製品が液体中に浸漬された場合に,
平衡重りが「可動」することで,液体中において平衡状態,すなわちバランスをと
ることに寄与しているのであるから,被告製品における平衡重り(ハ)が構成要件
C記載の「平衡重り」に該当する。」
原判決11頁26行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「なお,原告が,平成9年12月10日付け拒絶理由通知書に対する平成10年
3月16日付け意見書において,『引用例(判決注・実公昭42-10534号公報。
乙19)の重り3の重心はセンサが垂直位置を取っている時センサを通るほぼ垂直
線上にあるものと認められ,垂直線の横にあるという本発明(判決注・本件特許発
明)の上記特徴(ハ)を示していない。』としたのは,上記引用例の明細書は,重り
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3の重心位置を何ら特定しておらず,同明細書に記載された図面からは,重り3の
重心について,センサが垂直位置を取っている時,垂直線を避けた位置に置くとの
技術思想が開示されていないとの趣旨であり,平衡重りの重心が垂直線の近傍に位
置する構成を積極的かつ意識的に除外したものではない。」
原判決13頁14行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「また,被告製品は,クサリ(ル)を具備することにより,フロートのハンチン
グ(波立ちにより本体ケース(イ)が頻繁に揺さぶられること)による接点のバタ
ツキを防止すること,液面に浮遊する汚物等により本体ケース(イ)が所期の方向
と逆方向に傾くことを防止すること,本体ケース(イ)を吊り下げ点を中心に小さ
く回転させて,比較的狭い場所でも使用可能とすること,「回転軸」を中心とする回
転方向に作用する力に対する安定を得ることができるなど,特有の作用,効果を奏
する。」
原判決14頁2行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「なお,本件明細書には,本件特許発明の『平衡重り』が,『回転軸』を中心とす
る回転運動によるスイッチングの誤作動を防止するために『平衡』の作用を有する
重りであるとの記載はない。」
原判決14頁12行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「すなわち,被告製品においては,可動重り(ハ)によって,本件特許発明にい
う『平衡』となる効果を実現しようとする技術的思想は存せず,可動重り(ハ)は,
センサの設計上,マイクロスイッチのオン,オフを行うのに適切な重量を有する重
りとして構成されているにすぎない。」
原判決17頁4行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「ところで,補正により,特許請求の範囲に記載された技術的事項が,原明細書
等に記載された事項,又は,少なくとも出願時において当業者が原明細書等に記載
された技術内容に照らし現実に記載があると認識し得る程度に自明な事項を超える
場合,当該補正は明細書の要旨を変更したものとなる。また,当初明細書に現実に
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記載があると認識し得る程度に自明な事項であるというためには,現実には記載が
なくとも,現実に記載されたものに接した当業者であれば,だれもがその事項がそ
こに記載されているのと同然であると理解するような事項でなければならず,その
事項について説明を受ければ簡単に分かるという程度のものでは,自明ということ
はできない。さらに,当業者が,ある周知技術を前提として,当初明細書の記載か
ら当該事項を容易に理解認識することができるというだけでは足りず,周知技術で
あっても,明細書又は図面の記載を,当該技術と結び付けて理解しようとするため
の契機(示唆)が必要である。」
原判決18頁4行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「補正が要旨変更にあたるか否かは,明細書を補正した結果,特許請求の範囲に
記載した技術的事項が,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範
囲内であるか否かを基準に判断される。」
原判決26頁1行目から2行目に掛けての「乙222」を,「乙22」と改める。
原判決27頁18行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「なお,センサを構成する部品の相対的な重心位置及び重量比が,センサ全体の
重心位置に影響を与えることは技術常識といえる。したがって,本件特許発明にお
いて,センサを構成する部品の中で相当の重量比を備える平衡重りの重心位置が,
センサ全体の重心位置を調整するために重要な意味を持ち,平衡重り単体の重心位
置を中心からずらすことが,センサ全体の重心位置を中心から平衡重りの重心位置
と同方向にずらすことに寄与することも技術常識といえる。」
原判決30頁2行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「乙18には,重りが360度あらゆる方向に傾くことの記載はない。仮に重り
が左右どちらに傾いてもよい構成であったとしても,重りの回動の軌道に即した軸
支を行いさえすれば,正しく動作する。」
原判決31頁7行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「仮に,乙18発明が,左右どちらに傾いてもよい構成であったとしても,レベ
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ル・センサの技術分野において,特定の方向に傾かせることでスイッチのオン・オ
フを行うことは周知技術であり,乙18発明においても,内部の構成を一方に寄せ
るだけでかかる構成を採用することができる。」
原判決31頁20行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「また,乙18発明は,センサがどのような方向に傾いても,プランジャーが押
し上げられ,正しく動作する点に特徴があり,重りは,軸線はおろか,全く固定さ
れていないため,あらゆる方向に移動可能であるところ,通軸を中心として重りを
回動する構成とすると,特定の方向にセンサが傾かなければ正しく動作しなくなる
のであって,かかる発明の特徴を放棄するような構成とすることはできない。」
原判決32頁7行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「むしろ,乙18発明においては,センサ全体の重心位置を中心に位置させよう
とするものであり,センサ全体の重心位置を調整して常に一定の方向に傾くように
する必要性がなく,センサ全体の重心位置を調整する重りの重量比という技術的思
想を持ち込む必要もない。」
原判決32頁11行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「乙18発明におけるセンサ全体の重心位置は,センサの中心線上にあり,その
ような重心位置であることによりセンサとして正しく動作するのであって,センサ
全体の重心位置を中心からずらして所定の方向に傾くようにするという技術が公知
ないし周知であったとしても,これを適用する合理性も必要性もない。」
原判決34頁16行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「これに対し,原告らは,平衡重りのセンサ全体に対する重量比を30%以上と
することの技術的意義について縷々主張する。しかし,原告らの主張は,以下のと
おり,失当である。すなわち,本件特許発明は,平衡重りとして設計された可動重
りが,中空本体の傾斜に伴い,平衡重りを通る軸線を中心に回動してスイッチング
する構成を採用しているのであって,可動重りの回動方向(スイッチングの方向)
と直交する方向の回転は,本件特許発明の課題とは関連性がない上,センサが水流
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によって回転することも想定できない。また,平衡重りのセンサ全体に対する重量
比と,回転軸を中心として回転運動した時に元へ戻る力との間に物理的関連性はな
い。原告ITTは,出願経過において,平衡重りのセンサ全体に対する重量比を3
0%以上とする技術的意義について,センサを液体中に浸漬させることによる浮遊
汚染物による誤動作の防止,センサの傾斜方向での安定性及びスイッチの作動の確
実性の実現を主張していたにもかかわらず,控訴審に至り初めて,回転軸を中心と
する回転運動に対する安定性の確保にあるという主張をしたものである。」
原判決35頁19行目及び20行目を,次のとおり改める。
「さらに,レベル・センサにおいて,水中で安定的につり合うとは,①レベル・
センサに働く力の合力がゼロであり,②各力の任意の点の周りのモーメントの和が
ゼロであることとの条件を満たし,かつ,③水流等の外力を受けてレベル・センサ
が傾いても容易に元の姿勢に戻ろうとすることであり,平衡重りとセンサ全体の重
量比は,上記③の安定性に影響する。水を含めた流体には,粘性があり,粘性を有
する流体に流れが生じている状態においては,一般に流体の回転作用の大きさ,す
なわち流体中の物体を回転させる力の大きさを表わす循環はゼロにならない。そし
て,レベル・センサは,下水溝などで利用され,汚水を排水するモータが作動し,
汚水に強い流れが生じる環境にあり,水流による外力が常に働く状況にあり,回転
させられる危険性がある。そうすると,当業者であれば,レベル・センサについて
の本件特許発明が,液体中における安定性の確保という課題解決を目的としている
ことは,明細書に記載がなくても当然に理解することができ,本件明細書に,平衡
重りのレベル・センサ全体に対する重量比がレベル・センサの外力に対する姿勢の
安定に寄与することの理論的な説明が記載されていなくても,重量比30%以上で
センサの安定性が得られるとの趣旨の記載があれば,センサ全体に対する平衡重り
の重量比を一定以上に大きくすることで,センサの回転中心とセンサ全体の重心と
の間の距離も大きくなり,その結果,復原モーメントも大きくなって,センサの安
定性が大きくなるという関係があるということは,物理上の常識として理解される。
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なお,本件発明では,平衡重りのセンサ全体に対する重量比は,レベル・センサ
の安定性に寄与しているものの,それはセンサ全体の重心がセンサの中心からずれ
ているという構成,すなわち,センサが外力に対する安定性(復原モーメント)を
有することを前提として,その復原力の大きさ,すなわち安定性の程度を調整する
ための1つの要素として機能しているのであり,30%という具体的な数値そのも
のが技術課題を直接達成する関係にある必要はない。したがって,課題解決のため
に組み合わせた構成から,センサ全体に対する平衡重りの重量比を少なくとも3
0%とするとの要件のみを切り離して,これが課題解決のために不可欠な構成であ
るか否かを判断するのは誤りである。
以上によれば,当業者からすれば,平衡重りとセンサ全体の重量比を一定比率以
上とすることが,レベル・センサを液体中においておおむね主水平位置に安定的に
維持するという効果に寄与することは,明細書の記載と技術常識に基づいて容易に
理解することができ,サポート要件に違反しない。」

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第3 当裁判所の判断



当裁判所は,被告製品は,本件特許発明の構成要件B-1,CないしHを充足しないから,本件各控訴はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。

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1 構成要件B-1の充足性について


(1) 「電気ケーブル(2)に自由懸垂状態に取り付けられた中空本体」の意義構成要件B-1は,「中空本体内に配置したマイクロスイッチ(15)に接続された電気ケーブル(2)に自由懸垂状態に取り付けられた中空本体を含み,」である。同構成要件中の「電気ケーブル(2)に自由懸垂状態に取り付けられた中空本体」の意義について,以下検討する。

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ア事実認定


本件明細書には,次のとおりの記載がある(甲1)。
「【0010】【実施例】図面において,1は中空本体を,2は水密入口3と入口解
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放部4を有する電気ケーブルを,5は突出部6をもった接続円板を,7は接続ネジ
を,8は軸を,9は平衡重りを,10は重心を,11,12,13および14は平
衡重り9の表面を,15は弾性作動ヨーク16をもったマイクロスイッチを,最後
に17は電気ケーブルの導体を表わす。上記部品は中空本体1内に組立てられてレ
ベル・センサを構成し,後述するように平衡重り9は,レベル・センサが液中に浸
漬されると,センサをその浮力の中心の周りに回転させ,センサを水平位置で平衡
させる作用を有すると共に,自身の回転によりスイッチング作用を行う。」
「【0011】前述したように,中空本体の重量と容積は,中空本体が液体に囲ま
れているとき垂直線に対して強く傾斜した位置をとるように,管理される液体の密
度に適合される。他方,中空本体は空気に囲まれているとき主として垂直位置をと
る。」
「【0012】図1(判決注:別紙4図面1)に示す位置において,本体は完全に
又は殆んど完全に空気により囲まれている。そのとき平衡重り9の重心10はベア
リング6,8の左側に位置し,かくして平衡重り9はそのベアリングのまわりに反
時計方向に回転しようとする。回転運動は表面の一つが接続円板5の左側縁と接触
するとき停止する。平衡重りがこの位置に到達する直前に,その表面13は接続円
板5に取付けたマイクロスイッチ15上の弾性ヨーク16を作動し,マイクロスイ
ッチの電子回路を接続又は切離す。」

「【0014】水位レベルが上昇し始めると,レベルセンサは遂には傾き始め,最
後に図2(判決注:別紙4図面2)に示す主水平位置に到達する。容積と重量の適
切な選択により,水位レベルがセンサより上に如何に上昇するかに関係なく,セン
サはこの水平位置を取る。」

「【0016】マイクロスイッチを確実に停止させるため,平衡重り9は相対的に重く,レベル・センサの全重量の可成りの部分を構成する。しなしながら同時に,センサは製造上の理由のために重過ぎてはならない。受入れ可能な安全性を得る最小値は全重量の30%であるが,適切な値は50から80%の間である。加えて,センサの全重量/容積関係は,レベル・センサが液体で囲まれているとき主水平位置を取ることを確保するように,管理される液体の密度と関連して選択されるであろう。」



イ判断



前記本件明細書の【特許請求の範囲】の【請求項1】,【発明の詳細な説明】の段落【0010】,【0011】,【0012】,【0014】の記載及び図1,2(別紙4図面1,2)によれば,本件特許発明において,レベル・センサを構成している中空本体は,電気ケーブル(2)に取り付けられていること,そして,中空本体と電気ケーブルとの取り付け状態は,自由な姿勢を保つことができ,かつ懸垂されていることを要件としている。このような構成を採用した趣旨は,①中空本体が空気中にある場合には,電気ケーブルとの取付部を中心として,自由な姿勢を保つことができるものの,電気ケーブルにより吊られるために,自重により,先端底部を下にして,垂れ下がる状態(懸垂される状態)を維持することができ,また,②中空本体が液体中にある場合であっても,同様に,電気ケーブルとの取付部を中心として,自由な姿勢を保つことができる点,及び電気ケーブルにより吊られる点では同様であるが,液体との比重との関係から,別紙4図面2のように,電気ケーブルの取付部を中心として,方向を自由に変えることによって,水平状態を維持することができるようにしたことにあると推認される。

以上のとおり,構成要件B-1の「電気ケーブルに自由懸垂状態に取り付けられた」とは,レベル・センサを構成する中空本体が,空気中にある場合においても,液体中にある場合においても,電気ケーブルにより垂れ下がる状態を保つことができ,かつ,電気ケーブルの取付部を中心に自由な方向に姿勢を変えることができることを意味するものと解するのが相当である。


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(2) 被告製品との対比



甲4の1,乙26の1及び2,別紙3被告製品説明書【被告の主張】第1’図-②,第2’図-②及び弁論の全趣旨によれば,被告製品の本体ケース(イ)は,中空であり,内部に,可動する重り(ハ),マイクロスイッチ(ヘ)を配置し,マイクロスイッチ(ヘ)へは電気ケーブル(ロ)の三本の芯線が接続されていること,電気ケーブル(ロ)は本体ケース(イ)頂部の開口部(ホ)を通して本体ケース(イ)内部に引き込まれており,電気ケーブル(ロ)と開口部(ホ)は,シール部材(ト)により密封されていること,電気ケーブル(ロ)の途中にクランプ(ヌ)が設けられ,本体ケース(イ)の頭部側方から樹設したクサリ係止支柱(カ)とクランプ(ヌ)とは,クサリ(ル)の両方に取り付けられていることが認められる。

また,上記各証拠によれば,①本体ケースが,空気中にある場合には,別紙3被告製品説明書【被告の主張】第1’図-②のとおり,クサリ(ル)の方が電気ケーブルより短いため,専らクサリ(ル)によって吊された状態となり,電気ケーブル(ロ)が弛んだ状態となり,電気ケーブルとの取付部を中心として下方に自由に垂れ下がる状態(懸垂される状態)を維持することはなく,②本体ケースが,液体中にある場合には,別紙3被告製品説明書【被告の主張】第2’図-②のとおり,本体ケースが,大きく傾いて,本体ケースの底部を上に,ケーブルの取付部を下にした反転状態に姿勢を変えるものの,空気中にある場合と同様に,専ら,クサリ(ル)によって吊された状態であって,電気ケーブル(ロ)が弛んだ状態であることにおいては,空気中にある場合と変化はないことが認められる。

以上の事実を前提とすれば,空気中及び液体中のいずれの場合においても,被告製品の本体ケース(イ)は,クサリ(ル)との間で懸垂状態に取り付けられ,電気ケーブル(ロ)とは,弛んだ状態で取り付けられているため,電気ケーブルに自由懸垂状態に取り付けられていない。また,被告製品の本体ケース(イ)の取付部は,クサリ(ル)の長さに制約され,これを超える範囲に動くことはできないため,自由懸垂状態を確保することはできない。

(3) 小括

以上のとおり,被告製品の本体ケース(イ)は,「電気ケーブルに自由懸垂状態に取り付けられた中空本体」に当たらないので,構成要件B-1を充足しない。 14

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2 構成要件Cの充足性について



(1) 「平衡重りとして設計された当該可動重り」の意義

構成要件Cは,「平衡重り(9)として設計された当該可動重りは中空本体内に2つの異なる終端位置の間で該平衡重りを通る軸線を中心として回転可能に支持され,」である。同構成要件中の「平衡重り(9)として設計された当該可動重り」の意義について,以下検討する。

特許請求の範囲記載の「平衡重り(9)として設計された当該可動重り」の用語の意義は,必ずしも明確ではない部分を含む。そこで,明細書の記載及び図面を考慮して解釈する。

前記本件明細書の【発明の詳細な説明】の段落【0010】,【0011】,【0012】,【0014】,【0016】の記載及び図1,2(別紙4図面1,2)によれば,本件特許発明において,空気に囲まれているとき主として垂直位置をとるレベル・センサが,液体中に浸漬され,水位レベルが上昇し始めると,センサ本体は遂に傾き始め,最後には別紙4図面2のとおり水平位置に到達するが,容積と重量の適切な選択により,水位レベルがセンサ本体より上に如何に上昇するかに関係なく,水平位置を取るように構成されているところ,センサ本体内に2つの異なる終端位置の間で重りを通る軸線を中心として回転可能に支持された平衡重り(可動重り)は,レベル・センサが液体中に浸漬されると,センサをその浮力の中心の周りに回転させ,センサを水平位置で平衡させる作用を有するとともに,自身の回転によりスイッチング作用を行うことが認められる。そうすると,本件特許発明における「平衡重りとして設計された当該可動重り」とは,レベル・センサが,液体中に浸漬されてセンサ本体が傾き始め,水平位置に到達した後に,水位レベルがセンサ本体よりさらに上昇しても,なおセンサ本体が水平位置を取るようにした重りをいうものと解される。

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(2) 被告製品との対比

ア甲4の1,乙26の1及び2,別紙3被告製品説明書【被告の主張】第1’図-②,第2’図-②及び弁論の全趣旨によれば,被告製品の可動重り(ハ)は,軸(ニ)を中心として回転可能に支持され,別紙3被告製品説明書【被告の主張】第1’図-②における位置から第2’図-②における位置までの間,又は,第2’図-②における位置から第1’図-②における位置までの間で,回転することができること,本体ケースが液体中に浸漬された場合,本体ケースは液体中に沈み,本体ケースは空気中での別紙3被告製品説明書【被告の主張】第1’図-②の位置から,さらに大きく傾いて,本体ケースの底部を上方に,ケーブルの取付部を下方にした反転状態に姿勢を変えることが認められる。そうすると,被告製品の可動重り

(ハ)は,本体ケース内に2つの異なる終端位置の間で重りを通る軸線を中心として回転可能に支持されているものの,本体ケースが液体中に浸漬された後,水位レベルが本体ケースより上昇した際に,本体ケースが水平位置を取るものではなく,「平衡重りとして設計された当該可動重り」には当たらない。

イこれに対し,原告は,本件特許発明における「平衡重り」とは,「中空本体の外形」を「回転体」と捉えた場合,レベル・センサが液体中に浸漬された状態において,上記「回転体」の回転軸を中心として回転する運動を防止することによって,平衡重りの表面の1つがマイクロスイッチを作動させている位置で釣合のとれた安定した状態を保たせるように設計された可動重りを意味すると主張する。


しかし,原告の上記主張は採用することができない。すなわち,前記のとおり,本件特許発明における「平衡重りとして設計された当該可動重り」とは,その語義は明確ではないものの,明細書の記載等を考慮するならば,レベル・センサが,液体中に浸漬されてセンサ本体が傾き始め,水平位置に到達した後に,液体の密度と関連させたセンサの容積と重量の適切な選択によって,さらに水位レベルがセンサ本体より上昇しても,なおセンサ本体が水平位置を取るようにした重りのみが開示されていると解されること(本件明細書の段落【0014】,【0016】)に照らすならば,レベル・センサが,回転体の回転軸を中心として回転する運動を防止することに寄与する機能を有したものでありさえすれば,すべて,「平衡重りとして設計された当該可動重り」に該当するとの主張は採用の限りでない。

以上のとおり,被告製品は,構成要件Cを充足しない。



3 構成要件DないしHの充足性について



構成要件DないしGにおいても「平衡重り」についての記載がある。同構成要件における「平衡重り」についても,水位レベルがセンサ本体より上昇しても,なおセンサ本体が水平位置を取るように設計された重りを指すと解するのが相当である。前記2のとおり,被告製品は,上記「平衡重り」を備えていないので,構成要件DないしGを充足しない。

また,構成要件B-1と同様に,構成要件Hにおける「電気ケーブル(2)から自由懸垂状態にある」とは,レベル・センサを構成する中空本体が,液体中に浸漬されているとき,垂れ下がった状態や水平状態を自由に取り得る様に電気ケーブルに取り付けられていることであると解されるところ,前記1のとおり,被告製品の本体ケース(イ)は,液体中に浸漬されているときも,クサリ(ル)に懸垂状態に取り付けられており,本体の重量は電気ケーブル(ロ)ではなく,クサリ(ル)にかかっており,「電気ケーブル(2)から自由懸垂状態にある」とはいえないから,構成要件Hを充足しない。



4 結論



以上のとおり,被告製品は,構成要件B-1,CないしHを充足せず,本件特許発明の技術的範囲に属さない。

したがって,原告らの請求をいずれも棄却した原判決は,結論において相当であって,本件控訴は,その余の争点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部17裁判長裁判官飯 村 敏 明裁判官中 平 健裁判官知 野 明
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(別紙1) 物件目録


製品名を「レベルレギュレーターLC12」とする,液面制御スイッチ
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(別紙2)




被告製品説明書【原告の主張】




第1 図面の説明




第1図:空気に囲まれている被告製品の断面図




第2図:液体中に浸漬されている被告製品の断面図




第2 各構成部材の名称


(イ)本体ケース
(ロ)電気ケーブル
(ハ)平衡重り
(ニ)軸
(ホ)開口部
(ヘ)マイクロスイッチ
(ト)シール部材
(チ)作動レバー
(リ)押釦
(ヌ)クランプ
(ル)クサリ
(ヲ)頂部重り
(ワ)重りケース



第3 構成の説明



a 清水,汚水などの液面を検知するレベル・センサであって,液体の液面の位置に応じて,電気駆動ポンプのモータを始動/停止するため電気的なスイッチの機能を有する。

b 被告製品の本体ケース(イ)は,中空であり,内部に,可動する平衡重り(ハ),マイクロスイッチ(ヘ)を配置し,マイクロスイッチ(ヘ)へは電気ケーブル

(ロ)の三本の芯線が接続されている。また,本体ケース(イ)の頂部開口部

(ホ)直下には,頂部重り(ヲ)が設けられている。

電気ケーブル(ロ)は本体ケース(イ)頂部の開口部(ホ)を通して本体ケース(イ)内部に引き込まれており,電気ケーブル(ロ)と開口部(ホ)は,シール部材(ト)により密封される。

電気ケーブル(ロ)の途中にクランプ(ヌ)が設けられ,本体ケース(イ)の頭部側方端とクランプ(ヌ)とは,クサリ(ル) で接続されている。

被告製品を吊るした場合,クサリ(ル)の長さがクランプ(ヌ)・本体ケース(イ)間の電気ケーブルより短いため,クランプ(ヌ)と本体ケース(イ)との間では電気ケーブル(ロ)が撓んだ状態となるが,このような場合であっても,本体ケース(イ)は,クサリ(ル)およびクランプ(ヌ)を介して電気ケーブル(ロ)に取り付けられて,本体ケース(イ)が傾斜する場合であっても,かかる傾斜動作が妨げられるものではない。

作動レバー(チ)はマイクロスイッチ(ヘ)の押釦(リ)により平衡重り(ハ)に向けて常時付勢され,これによって平衡重り(ハ)の底面に当接している。作動レバー(チ)は,第1図の位置をとる場合においてはマイクロスイッチ(ヘ)に付設された押釦(リ)を作動させない状態であるが,センサ本体が傾斜して第2図の位置をとる場合には,平衡重り(ハ)の底面が作動レバー(チ)を押した結果,同レバーが押釦(リ)を押し込む状態となる。その後,第2図の位置から再度第1図の位置に復帰する過程においては,作動レバー(チ)はマイクロスイッチ(ヘ)の押釦(リ)によって,平衡重り(ハ)の移動に合わせて,同重り(ハ)の底面に当接しながら,再度,第1図の位置に復帰する。

c 平衡重り(ハ)は軸(ニ)を中心として回転可能に支持され,第1図における位置から第2図における位置までの間で且つその反対方向の間で回転することができる。
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d 前記のとおり,平衡重り(ハ)はその底面の一部が作動レバー(チ)に接しており,第2図の位置をとる場合において,作動レバー(チ)を押すことによって,同レバーが押釦(リ)を押し込み,マイクロスイッチ(ヘ)を作動させ,また,第2図の位置から第1図の位置に戻る過程においては,作動レバー(チ)は平衡重り(ハ)の移動に合わせて,同重り(ハ)の底面に当接しながら,再度,第1図の位置に復帰する。

e 平衡重り(ハ)の重量は,本体ケース(イ),マイクロスイッチ(ヘ),平衡重り(ハ),頂部重り(ヲ),軸(ニ)及び重りケース(ワ)から成るセンサ本体が空気によって囲まれている場合,当該センサの全重量の約38%である。

f 平衡重り(ハ)の重心は,センサ本体が空気に囲まれて主垂直位置を取っている場合に,第1図に示す通り,本体ケース(イ)の外形の中心を通る垂直線上から外れた位置にある。

g 被告製品センサ全体の重心は,被告製品センサが空気に囲まれて主垂直位置を取っている場合に,本体ケース(イ)の外形の中心を通る垂直線から外れた位置にあり,前記fの平衡重り(ハ)の重心と同じ側にある。

h センサ本体が液体中に浸漬された場合,センサ本体は液体中に沈み,同センサは空気中での懸垂状態の位置からさらに傾き,浮力により自由に回動して略反転状態となる。この状態で,センサ本体の重量は,電気ケーブル(ロ)にかかる。

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(第1図)
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(第2図)
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(別紙3)




被告製品説明書【被告の主張】



a’ 清水,汚水などの液面を検知するレベル・センサであって,液体の液面の位置に応じて,電気駆動ポンプのモータを始動/停止するため電気的なスイッチの機能を有する。

b’ 被告製品の本体ケース(イ)は,中空であり,内部に,可動する可動重り(ハ),マイクロスイッチ(ヘ)を配置し,マイクロスイッチ(ヘ)へは電気ケーブル(ロ)の三本の芯線が接続されている。また,本体ケース(イ)の頂部開口部(ホ)直下には,頂部重り(ヲ)が設けられている。

電気ケーブル(ロ)は本体ケース(イ)頂部の開口部(ホ)を通して本体ケース(イ)内部に引き込まれており,電気ケーブル(ロ)と開口部(ホ)は,シール部材(ト)により密封される。電気ケーブル(ロ)の途中にクランプ(ヌ)が設けられ,本体ケース(イ)の頭部側方から樹設したクサリ係止支柱(カ)とクランプ(ヌ)とは,クサリ(ル)で接続されている。

被告製品を吊るした場合,クサリ(ル)の長さがクランプ(ヌ)・本体ケース(イ)間の電気ケーブルより短いため,クランプ(ヌ)と本体ケース(イ)との間では電気ケーブル(ロ)が撓んだ状態となり,本体ケース(イ)は,クサリ(ル)および電気ケーブル(ロ)に取り付けられている。

作動レバー(チ)はマイクロスイッチ(ヘ)の押釦(リ)により可動重り(ハ)に向けて常時付勢され,これによって可動重り(ハ)の底面に当接するようになっている。作動レバー(チ)は,第1’図-②の位置をとる場合においてはマイクロスイッチ(ヘ)に付設された押釦(リ)を作動させない状態であるが,センサ本体が傾斜して第2’図-②の位置をとる場合には,可動重り(ハ)の底面が作動レバー(チ)を押した結果,同レバーが押釦(リ)を押し込む状態となる。その後,第2’図-②の位置から再度第1’図-②の位置に復帰する過程においては,作動レバー(チ)はマイクロスイッチ(ヘ)の押釦(リ)によって,可動重り(ハ)の移動に合わせて,再度,第1’図-②の位置に復帰する。
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c’ 可動重り(ハ)は軸(ニ)を中心として回転可能に支持され,第1’図-②における位置から第2’図-②における位置までの間で且つその反対方向の間で回転することができる。

d’ 前記のとおり,可動重り(ハ)はその底面の一部が作動レバー(チ)に接するようになっており,第2’図-②の位置をとる場合において,作動レバー(チ)を押すことによって,同レバーが押釦(リ)を押し込み,マイクロスイッチ(ヘ)を作動させ,また,第2’図-②の位置から第1’図-②の位置に戻る過程においては,作動レバー(チ)は可動重り(ハ)の移動に合わせて,再度,第1’図-②の位置に復帰する。

e’ 可動重り(ハ)の重量は,本体ケース(イ),マイクロスイッチ(ヘ),可動重り(ハ)(約315グラム),頂部重り(ヲ)(約270グラム),軸(ニ)及び重りケース(ワ)から成るセンサ本体が空気によって囲まれている場合,当該センサの全重量(約783グラム)の約40%である。

h’ センサ本体が液体中に浸漬された場合,センサ本体は液体中に沈み,同センサは空気中での第1’図-②の位置からさらに傾き,略反転状態となる。この状態で,センサ本体の重量は,クサリ(ル)にかかる。
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(第1’図-②)
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(第2’図-②)
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(別紙4)


図面1〔甲1の図1〕
図面2〔甲1の図2〕
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Last Update: 2011-02-01 16:56:20 JST

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