2011年3月3日木曜日

特許:【補正の機会を与える義務…否定】「解釈」:(知財高裁平成23年3月3日判決(平成22年(行ケ)第10308号審決取消請求事件))






特許:【補正の機会を与える義務…否定】「解釈」:(知財高裁平成23年3月3日判決(平成22年(行ケ)第10308号審決取消請求事件))




知的財産高等裁判所第4部「滝澤孝臣コート」


平成22(行ケ)10308 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成23年03月03日 知的財産高等裁判所

(知財高裁平成23年3月3日判決(平成22年(行ケ)第10308号審決取消請求事件))

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【補正の機会を与える義務…否定】「解釈」




判示・縮小版なし



本件出願に適用される法17条の2第1項は,特許出願人が同法50条による拒絶理由通知を受けた後は,最初の拒絶理由通知を受けた場合の指定期間内,最後の拒絶理由通知を受けた場合の指定期間内及び拒絶査定を受けた場合の査定不服審判請求の日から30日以内にするときに限り,願書に添付した明細書(特許請求の範囲を含む)及び図面の補正をすることができると規定している。これは,無制限に補正を認めたのでは,手続を複雑にし,特許庁の負担もいたずらに増すことになり,ひいては迅速な権利付与手続の妨げにもなること,出願人同士の公平性の確保という見地などから,願書に添付した明細書及び図面の補正につき,補正のできる時期について一定の制限を加えたものである。


これを本件についてみると,本件出願については,原告が本件審尋書を受領した時点において,上記1のとおり,平成19年8月20日付けで拒絶理由通知がされて補正をすることができる指定された期間が経過し,また,平成20年7月15日の審判請求の日から30日の期間も経過していたのであるから,拒絶査定の理由と異なる拒絶理由があるとして改めて拒絶理由が通知される場合は格別,審判官において,法律上,特許出願人である原告に対して補正の機会を与える義務はない。

しかるところ,本件審決は,平成19年8月20日付け拒絶理由通知書,原告からの同20年2月22日付け意見書及び手続補正書,同年4月9日付け拒絶査定で一貫して対象とされていた事項について,同拒絶査定と同じ理由で本願発明を査定することができないと判断したものであるが,原告として,査定不服審判請求の日 から30日以内にする補正において,この点について適切に補正する機会が与えられていたものである。それにもかかわらず,原告は,この時点に至っても,なお,審判官とのせめぎ合いの中でできるだけ補正可能性のある広い特許請求の範囲を模索するとして,拒絶理由通知に対応した最終的な補正方針に基づく,より限定された特許請求の範囲の補正をせずにいたというのであって,このような対応をした原告が,改めて拒絶理由が通知された場合でないのに,その場合同様に補正の機会を与えられなかったことを不当であるなどと主張することは失当というほかない。



H230307現在のコメント


条文どおりです。

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Last Update: 2011-03-07 09:19:10 JST

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